「やりきった」メジャー2位&五輪決定 山下美夢有が笑顔で帰国

山下美夢有が帰国した 五輪、そして次のメジャーに向けての意気込みは?(撮影:ALBA)

晴れ晴れとした笑顔を浮かべ、関西国際空港に降り立った。「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」で2位タイに入り、世界ランキングで日本勢2番手の19位に浮上し「パリ五輪」の切符を獲得した山下美夢有が、大勢の報道陣やファンの出迎えを受けた。

「こんなことになっているとは」と驚きの表情を見せる。メジャー大会の2位、そして五輪出場の切符獲得がこれほど大きな反響とは思わなかったのがホンネだ。「(こんなにいるとは)思っていなかった(笑)」と帰国してはじめてその“重み”を感じている。

同大会前の世界ランキングは日本勢4番手の22位。20位に古江彩佳、21位に畑岡奈紗がつけていた。トップ10入りしていた笹生優花はすでに五輪当確。最後のひと枠をかけた戦いで、あざやかに二人を振り切ってみせる快進撃。2位という結果に「悔しさ」もあるが、やりきった充実感をにじませる。

最終日最終組、まさに優勝争いのまっただ中で18ホールを回りきった。最後はエイミー・ヤン(韓国)に屈したが、最終ホールをバーディ締めとし、2位に滑り込んだ。「ショットが安定していて、ショートゲームでリカバリーできたことがよかった。やりきった」と成長を感じることができたのは、大きな収穫だ。

五輪出場が内定したとはいえ、まだその実感が湧かないのもホンネ。「毎試合、その試合で結果を残せるように」。まだメジャー大会は2試合を残し、そのあいだに五輪が含まれることになっただけのこと。「どの試合も勝ちたい」という気持ちは変わらず、ここからが勝負の2カ月となる。

激闘明けの現地月曜日の夕方便で帰国。途中羽田を経由して地元の大阪に戻ったが、「ほとんど寝られていない」と機内では興奮状態だったと明かす。“悔しさ”や“充実感”が入り交じった機上での時間。「キャディさんと『もっとグリーンセンターを狙えばよかったね』とか(笑)」。喜びより、結果よりもまずは惜敗の反省が先に立った。

2年連続で国内ツアーの女王に君臨する。今季は海外メジャーの優勝も目標のひとつに掲げてスタートした。4月の「シェブロン選手権」では17位タイ、「全米女子オープン」では12位タイと着実に自身の位置を上げてきた。そして今回の2位。「チームとしてもよかった」と、チーム山下全体の底上げを感じることができたのも大きかった。

このあとは2週間を休養に充てて、五輪開催地と同じフランスで行われる海外メジャー第4戦の「アムンディ・エビアン選手権」(7月11日開幕)に臨む。そして8月7日からスタートする五輪、さらには「AIG女子オープン」(全英、8月22~25日)と忙しい真夏を迎える。全米2位という結果は通過点。「次のメジャーに向けて頑張りたい」と勢いそのままに、ヨーロッパへと乗り込む。(文・高桑均)

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