五輪のイメージは“世界最速の男” 山下美夢有にとってスポーツの祭典とは

山下美夢有にとって五輪とは?(撮影:ALBA)

女子プロゴルファー“最強決定戦”で2位タイに入り、滑り込みで8月の「パリ五輪」への切符もつかんだ山下美夢有が、米国ワシントン州から25日夜に帰国。地元・大阪の関西国際空港で今の気持ちを語った。

メジャー大会で2位という成績はもちろん自己最高位。優勝を逃したという結果に悔しさもにじませたが、同時に高い水準の充実感も味わっている。五輪代表最後のひと枠を巡る争いを制して、日の丸を背負うことになったことも自信のひとつ。だが、正直にいえば“五輪”という言葉に、まだ実感が湧かない。

2016年の「リオ五輪」で112年ぶりに五輪種目に復活したゴルフ競技は、5年後の「東京五輪」も見ていなかったという。「オリンピックはやっぱり特別な大会」としながらも、五輪といえば「ボルトさん」と100メートルの世界記録保持者(9秒58)、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)の名前が真っ先に頭に浮かぶ。「ゴルフはあんまり見ていなくて(笑)」と五輪についてはこれまであまり考えたことがない。「会いたかったです」というボルトの存在が、山下にとってはいまも五輪そのものなのだ。

メジャーでの激闘を終えてまだ2日。「ちょっとゆっくりしたいなという感じです」と疲れもあり、そんないまは五輪のことはまだ先のこと。パリのイメージを聞かれても「特に考えてなかったです…」。このあと正式に日本代表を示す日の丸が刻まれたユニホームや備品が提供されれば、自ずとオリンピアンとしての自覚が芽生えてくることになる。

前回の「東京五輪」では稲見萌寧が銀メダルを獲得。日本勢2大会連続でのメダル獲得も期待されるが、まずはその前に控えるメジャー4戦目の「アムンディ・エビアン選手権」(7月11日開幕)に照準を合わせる。「今回もコンディショニングはよかったので、それがスコアにつながってくれた。自信となった部分もあるけど、足りないものもある。いまやりたいことをしっかりできるようにしたい。それが自信につながって結果につながると思う」と先送りとなったメジャー制覇をまずは目指していく。

パリ五輪の次は28年の「ロス五輪」。そのときに『五輪ゴルフといえば山下美夢有』と言われるような活躍を、ぜひともパリで見せてほしい。(文・高桑均)

© 株式会社ALBA