すさんだ毎日を送る傷だらけの少年 犯罪組織へ決死の直談判 「このろくでもない世界で」本編映像

2024年7月26日より劇場公開される、第76回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に正式出品された映画「このろくでもない世界で」から、ホン・サビン演じるヨンギュが、ソン・ジュンギ演じる地元の犯罪組織のリーダーであるチゴンの下で働かせて欲しいと直談判しにくる、本編シーンの一部が公開された。

義理の父親からのDVで顔に大きな傷を負い、バイト先をクビになってしまったヨンギュ。暴力と貧困がはびこる町で、堅気の仕事があることで、平穏ではないながらも犯罪には手を染めずにいられた。だが、その働き口すら失ってしまい、なかばヤケクソにバイト先の窓ガラスをぶち壊し、土砂降りの中をずぶぬれになりながらチゴンの事務所へ向かっていた。

映像では、チゴンの事務所に到着したヨンギュがチゴンの手下のスンムから「さっさと帰れ」と冷たくあしらわれるも、ヨンギュが無視して一歩を踏みだす姿が描かれる。「聞こえねえのか?」とスンムが畳み掛けると、チゴンが「来い」とスマホを操作しながら呼びかける。「スンムがここには来るなと言ったろ、ガキが何の用だ。おまえにやった金だ、帰って勉強でもしろ」と、以前にヨンギュを助けるために渡した金についても気にしないよう、優しく諭すチゴン。しかし、ヨンギュはそれには答えず「雇ってください」とだけ述べる。

「ダメだ、帰れ」と突き放すチゴンだったが、椅子を持ってきて彼の目の前に座り込むヨンギュの顔の異変に気づく。チゴンに「帽子をとれ 早く」と言われたヨンギュは、渋々ながら帽子を取り、血のにじんだ生々しい傷があらわになる。それを見たチゴンは、驚きと悲しみの混じった表情で、「ひどい顔しやがって」と小さくつぶやく。ヨンギュとチゴンというふたりの男の物語が、急速に動き出すシーンとなっている。

「このろくでもない世界で」は、ある寂れた町を舞台に、継父からの暴力と貧困にあえぐ18歳の少年ヨンギュと、絶望の漂うヨンギュの瞳にかつての自分を重ねた裏社会の男チゴンの物語。傷だらけのふたつの魂が交錯した時、悲劇がさらなる悲劇を生み、彼らの運命は思わぬ方向へ走り出す。監督・脚本を務めたのは、本作が初長編作品となるキム・チャンフン。ヨンギュ役を演じたのは、「ヴィンチェンツォ」「ロ・ギワン」などのホン・サビン。大きく作り上げた体になまなましい傷を全身に刻んだ犯罪組織のリーダーという、これまでにない姿で登場する。

【作品情報】
このろくでもない世界で
2024年7月26日 TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© 2023 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES, HiSTORY ALL RIGHTS RESERVED.

© 合同会社シングルライン