絶滅危惧種のベッコウトンボ、北京で存在を確認

絶滅危惧種のベッコウトンボ、北京で存在を確認

北京市海淀区水務局の水生態健康モニタリングチームが撮影したベッコウトンボ。(北京=新華社配信)

 【新華社北京6月26日】中国北京市で国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種(CR)に指定するベッコウトンボが確認された。同市海淀区水務局の水生態健康モニタリングチームが5月初めに上荘ダム沿岸で発見したトンボを北京林業大学の専門家が鑑定して確定した。

 ベッコウトンボは羽に色斑のある比較的大型のトンボで、主に海抜の低い川や湖、湿地に生息し、かつては華北や華東地域などに広く分布していた。北京農学院の呉超(ご・ちょう)氏は2011年に発表した「北京のトンボ目昆虫リストと地理的分布」で「北京でベッコウトンボは絶滅した可能性がある」としていた。

 北京林業大学林学院森林保護学科の史宏亮(し・こうりょう)副教授は「ベッコウトンボが必要とする環境は小規模な静水域で、水質に対する要求も比較的高い。以前は水田や小さな湖が理想的な生息地だったが、都市化が進んで水田や自然形成された湖が徐々に減少、消失したため都市部での生息環境が失われた」と説明。他の希少トンボは平原地帯での生息地が減少する中で山間部に新たな生息地を求めたが、ベッコウトンボは環境適応力が低く、個体群の移動・拡散能力も弱いため環境ストレスに対する脆弱(ぜいじゃく)性が高く、深刻な絶滅の危機に瀕しているという。

 海淀区水務局で水生態健康モニタリングの責任者を務める陳乾闊(ちん・かんかつ)さんは、ベッコウトンボの絶滅危険度はジャイアントパンダのランクより高く、国家1級保護動物のカラチョウザメやヨウスコウカワイルカと同等だと指摘。IUCNはベッコウトンボのランク評価で生息数を5千匹未満と予測したため「CR」に分類したが、個体群数は世界で年々減少しており、自然生息地の保護が極めて重要だと語った。(記者/呉文詡)

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