ウェイン・ショーター、没後初の公式作品は生前本人が監修したアーカイヴ4部作の第1弾

1950年代のジャズの黄金時代から2023年に亡くなるまで、一線で活躍したサックス奏者 / 作曲家、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)の没後初の公式作品として、アーカイヴ・シリーズ4部作の第1弾、『セレブレーション Vol.1』が8月23日(金)に発表されます。先行シングルの「エッジ・オブ・ザ・ワールド(エンド・タイトル)」が公開されています。

本作は、ウェインが生前からブルーノートとリリースの計画を進めていた、本人監修によるアーカイヴ・シリーズ4部作の第1弾。2014年10月18日にスウェーデンのストックホルム・ジャズ・フェスティヴァルで行なわれたライヴを収めています。ダニーロ・ペレス(p)、ジョン・パティトゥッチ(b)、ブライアン・ブレイド(ds)を率いた後年のレギュラー・カルテット編成による「ゼロ・グラヴィティ」「スマイリン・スルー」「オービッツ」「ロータス」「シー・ムーヴス・スルー・ザ・フェア」など全10曲を収録。

本作について、ウェインの妻であるカロライナは「2022年の秋、ウェインに音源を整理してもらうために、エンジニアのロブ・グリフィンが彼に未発表音源をたくさん送り始めたの。ウェインは四六時中その音源を聴き始めた。私が家で何かをしているとき、電話で話しているとき、仕事をしているとき、彼は“カロライナ! この曲を聴きに来て! このバンドがどんなプレイをしているか聴いてくれよ!”と叫んでいたわ。ウェインは細かいメモも残した。そのうちのいくつかはこのアルバムにも収録しているの。彼は(本作収録の)ストックホルムのコンサートを聴いて、“これをアルバムにしよう!”と言ったわ。それから彼はもっといろいろなものを聴き始めて、時間が経つにつれて、アルバムは1枚だけでは足りないことに気づいた。ウェインは当初、このコレクションを『未確認飛行物体』(Unidentified Flying Objects)と名付けたがっていたわ。バンドが演奏する音がUFOだと思っていたみたい!2023年1月、最後に入院したときも彼はトラックを選び、アルバムのレイアウトを続けたの。彼の使命の根底にある“決して諦めない”というスピリットはかつてないほど強くなって、多くの音楽をリリースすることに興奮していたわ。そのリリースが実現する頃には自分はもうこの世にはいないだろうと彼が気づいたのは、人生最後の10日間になってからだった。彼は残された時間で人生を祝う必要性を感じて、このシリーズのタイトルを『セレブレーション』にすることを決めたの。私は“そうよ、ウェイン! 人生をお祝いしましょう! 完璧なタイトルだわ!”と言ったわ」と語っています。

Photo by Tomo Muscionico

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