まいばすけっと/Uber配送員が買物代行する新機能、年内に1000店舗導入

イオンとまいばすけっとは6月26日、「Uber Eats」の新機能「ピック・パック・ペイ(以下、PPP)」を「まいばすけっと」20店舗(東京都13店舗、神奈川県7店舗)に導入した。PPPは「Uber Eats」の配送パートナーが注文商品のピック作業・袋詰め・会計・配達を全て一貫して行う買物代行サービス。12月までに1000店舗での展開を目指す。

<まいばすけっと商品の配送可能に>

共働き世帯の増加などで買物にかける時間を短縮したいというニーズが増加する中、PPP機能を新たに導入した。国内で同機能の実装は今回が初めて。イオングループの提供する生鮮食品やプライベートブランド「トップバリュ」などの商品が自宅まで即時配達され、首都圏に住む顧客の利便性を高める。今後はグループ全体でクイックコマースを推進していく考えだ。

PPPの導入にあたり、「Uber Eats」の配送パートナーによる店内作業がスムーズに行われるよう、ドライバーアプリに新機能を追加。「商品のバーコードをアプリで読み取り、正しい商品かどうかを確認する機能」「欠品の際、注文者とアプリ上で代替商品を確認できるチャット機能」「配送パートナーが決済時に使用するPPP支払い専用のデジタルカード」などを導入している。

<菓子DX推進担当>

新サービスについて、イオンの菓子豊文 DX推進担当は「東京都という非常に大きなマーケットで存在感を出したいと考え、首都圏を中心に展開する、まいばすけっとでのPPP導入を決断した。今回の導入は、イオングループ各社がこれを推進するべきか否かを判断する1つのトライアルだと見ている。事業会社ごとに損益計算はあるが、そこにフィットできれば広く浸透させることが可能だ。まずは都内で成功させたい。

これまで首都圏・東京都内ではイオンの商品を配送できず、お客様から残念だという声を聞くこと多かった。だが、まいばすけっとは都内に多くの店舗を持つ。まいばすけっとをコンビニと比較した時の優位性は、生鮮・即食品に加えイオントップバリュを多く扱っていることだ。価格面でも非常に大きなアドバンテージを持つ。今まで東京の方が購入できなかった物がすぐに届くという価値を提供する。

イオンのECで、これまでクイックコマースの売上構成比はほとんどなかった。食品部門での構成比5~10%を目指したい。イオンネットスーパーやGreen Beansなどでの取り組みに加え、今回、クイックコマース分野での取り組みを加速させる。また、グループトータルアプリ『iAEON』とも連携させることで、店舗・デジタルが融合されたシームレスな体験を提供していく」と述べた。

<ユリア事業代表>

Uber Eats Japan合同会社のユリア・ブロヴキナ グロサリー・リテール事業代表は「PPPは、加盟店の皆さまにとって、既存の店内業務にフォーカスしながら、より広い商圏でより多くの顧客にリーチし、売上を伸ばすことができるサービスだ。特に人員不足に悩む多くの小売パートナーにオンラインデリバリーを開始して頂けることを期待している。

全国に10万人いる配達パートナーにとっては、報酬機会が増えることを意味する。これまでの配達パートに加え、新たな機会を提供するが、希望しないパートナーはPPPでの配達を選択しない権限もある。受けるかどうかは配達パートナーの自由だ」と説明した。

<PPP実演>

配送パートナーのアプリ画面には通常の配送業務に加え、PPPによる依頼が表示される。PPPでの仕事を選択する場合、詳細画面で注文内容を確認可能。どのような商品をいくつ購入するかがリストアップされるため、買物内容を確認して仕事を受けるか否かを判断できる。

一方、注文者側の使用感はほぼ変わらないが、PPPの実装によって小売店から即時に日用品などを購入できるようになった。だが、配送パートナーがピックアップから会計まで行う手間賃分、注文時に支払う配送料は上がるという。

<商品バーコードをスキャン>

買物を始めると、PPPの注意点が毎回表示され、配達パートナーの作業をサポートする。店に着いたら買物かごを取り、アプリの案内に従って商品を探す。買物リストにある商品を手に取って、バーコードをスマホでスキャン。この時、正しい商品でない場合はエラーメッセージが表示され、誤った商品の購入を防ぐ。

もし注文品が欠品していた場合、新たに実装された「チャット機能」で、代わりに何を購入するかなどを顧客とやり取りできる。

<セルフレジで会計>

会計はセルフレジで行う。通常の会計と同じ流れで商品をレジでスキャンし、袋詰めする。決済には、Uberが用意したPPP支払い専用のデジタルカードを使用可能。自分で支払うこともでき、その場合は後日Uberから払い戻しを受ける手間が発生するが、個人の判断でポイ活もできる。

<レシート撮影>

支払い完了後、出てきたレシートをスマホで撮影し、領収書画像を送信する。その後、購入品を注文者の自宅まで配送し、業務完了だ。

<山本本部長>

まいばすけっとの山本浩司 管理本部長は「顧客の近くに店舗を出店するだけでは、そもそも時間の取れない顧客や、さまざまな事情で外出困難な方に商品を届けることができない。過去にもデリバリーを期待される声はたくさんあったが、少人数で店舗を運営する弊社の業務では対応が難しかった。PPPによって、さまざまな顧客に商品を提供できるようになる」と述べた。

取材・執筆 古川勝平

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