「逃げろ!」命を守る避難訓練 “観光と防災”の機能を持つ施設完成 全国初の津波災害特別警戒区域に=静岡・伊豆市

静岡県伊豆市の土肥地区に津波避難タワーと観光拠点の機能を併せ持つ複合施設が完成しました。オープンを前に観光客と住民の避難を想定した訓練が6月22日に行われ、地域全体が防災への意識を高めています。

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全国で初めて、津波災害の特別警戒区域・通称「オレンジゾーン」に指定された伊豆市の観光地、土肥地区。南海トラフ巨大地震では、最大10mの津波が地震から6分で到達すると想定されています。

伊豆市が新たに建設した「テラッセオレンジトイ」。鉄骨構造の4階建て。高さは18mを超え、全国初の津波避難複合施設です。

<伊豆市 菊地豊市長>
「海水浴客が3000人、花火で7000人集まったときでも旅館も使わせていただき、どうしても逃げ場の無い人たちのために、ぜひ皆さんと一緒に、生き残っていただきたい」

<同報無線>
「ただいま大きな地震が発生しました。直ちに身の安全を確保してください」

<訓練の様子>
「逃げろー、逃げろー」

7月12日のオープンを前に行われた避難訓練です。震度7の揺れを想定して地元市民ら200人が参加しました。

これまで海水浴場周辺に避難できる場所は一つもありませんでした。そこでこの施設は、平時にレストランやみやげもの店が入る観光拠点となる一方、災害時は3階以上に上がることで津波から命を守る避難タワーの役割を担います。

<参加した住民>
「上にのぼってきて、この高さじゃないと回避できないんだな。上から見るのと、下から見るのは全然違う印象」「観光客もここだったら上りやすい。分かりやすくていいと思う」

今回の訓練では、津波到達予想の6分までに約9割の人が避難することができました。

<地元自治会 高橋伴治屋形地区区長>
「もっとうまく誘導できたり、地元として観光客の安全をやっぱ考えていきたいと思います」

一方で、高齢者の避難には課題も見えました。

<参加した住民>
「いや、こりゃ、階段は無理だな俺は」「自分は久しく階段上ってなかったんで、今ここ上るだけで、ふうふうって、もう息が上がっちゃって、ちょっと苦しい」

<伊豆市 菊地豊市長>
「地域の皆さんにおぶってでも抱き抱えてでも逃げていくことを訓練を重ねていただくしかないかなと」

伊豆市では、参加者が避難の際に身につけたGPSのデータを分析し、混雑してしまう場所などを検証して、今後の訓練などに生かしていくということです。

『テラッセオレンジトイ』
▼7月12日にグランドオープン
▼高さ18.8m
▼1階=地場産品直売所、カフェ、2階=イベントスペース、
3階=レストラン、4階屋上=BBQレストラン
▼3・4階部分(約616㎡)に1230人が避難可能

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