磐田戦の同点弾に続き、札幌戦では決勝点。FC東京が逆転優勝を狙ううえで切り札的存在になりそうなのが…【コラム】

2024年6月26日、FC東京が味の素スタジアムで北海道コンサドーレ札幌と戦った。CFに荒木遼太郎、トップ下に松木玖生を起用したホームチームは、その2人を軸に攻撃を組み立てようとしていた。

しかし、札幌のハイプレスに苦しみ、なかなか形を作れない。むしろ札幌のパスワークに手を焼くケースが目に付き、際どいシュートを打たれるシーンもあった。押し込まれるほどの展開ではないものの、攻守の歯車が噛み合っていない感は否めなかった。

今季のFC東京は流れるような攻撃が少ない印象だ。足もとでボールを繋ぐ“各駅停車のパス”が多く、いわゆる3人目の動きなどで裏を取る動きもあまり見られない。俵積田晃太や荒木らの個人技で局面を打開できればそれはそれでいいが、札幌戦の前半はその個人技をどちらかと言えば抑え込まれていた。

リーグ5連敗中で最下位の札幌を圧倒するぐらいのゲームを見せてほしかったが、実際にはそうならなかった。GK野澤大志ブランドンのビッグセーブが目立っていた事実が、攻撃陣の停滞を物語るだろうか。

それでも、スコアレスドローが濃厚かと思われた84分にゴールを奪った点は評価できる。ホームの磐田戦で貴重な同点弾を決めた安斎颯馬が今度は決勝弾と、ここにきて確かな存在感を示しているのは頼もしい。

内容が良くても勝てなければ意味がない。その点で内容があまり良くなくても札幌に勝てた意義は大きく、安斎の勝負強さは称賛に値した。ここから逆転優勝を狙ううえで、彼は切り札的存在になるかもしれない。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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