ユーロ圏への加盟候補国、いずれも基準満たさず=ECB報告

[フランクフルト 26日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は26日発表したユーロ圏への加盟候補国に関する報告書で、いずれの候補国も加盟基準を満たしていないと指摘した。

ECBは2年に1度、加盟基準を巡る進捗状況に関する報告書を公表している。対象はブルガリア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スウェーデン。

欧州連合(EU)加盟国はデンマークを除き、共通通貨ユーロの導入を求められているが罰則はない。各自で金融政策を決められれば独立性を維持できることもあり、ユーロ圏加盟候補国の大半は、積極的に取り組んでいない。

ECBは報告で「厳しい経済状況を反映し、基準の順守に関しては進展が限定的だ」と言及した。

ユーロ圏の基準から一段と乖離した国がある要因として、ユーロ圏加盟候補国の大半がエネルギー需要をロシアに長期にわたり依存してきたため、ロシアのウクライナ侵攻に伴い経済的な影響を受けていることが大きい。

ハンガリーにはとりわけ問題があるとみられ、インフレ、債務、財政赤字、長期借入コストに関する基準を満たしておらず、通貨は変動が大きい。中央銀行の独立性などに関しても規則を満たしていないとECBは指摘した。

また、ECBは経済的基準を満たすことよりもはるかに深刻な問題があると指摘。「審査対象の全ての中・東欧諸国、特にブルガリア、ルーマニア、ハンガリーは制度や統治の質が相対的に低い」と強調した。

一方、ユーロ圏への加盟に積極的に取り組むブルガリアに関しては、インフレの水準が基準を満たさなかった。ECBは今後の見通しを懸念しているとし「インフレを収束させるには、経済の安定につながる政策と、広範囲にわたる構造改革が必要だ」と指摘した。

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