中国各地で新エネ車の急速充電施設が充実

中国各地で新エネ車の急速充電施設が充実

重慶市両江新区の明月湖急速充電ステーション。(6月6日、ドローンから、重慶=新華社記者/王全超)

 【新華社北京6月27日】新エネルギー車(NEV)の販売台数が伸び続け、市場占有率が4割に迫る中国で、急速充電が注目されている。コーヒーを飲み、軽い食事をする間に充電を終えられる便利な時代が近づいている。

 中国重慶市両江新区で今月初め、太陽光発電・蓄電・充電・緊急電源機能を一体化した同区初の施設に入ったNEVがわずか10分で充電を終えた。施設への投資と建設、運営を担う中建科工集団重慶分公司の武立山(ぶ・りつざん)総経理によると、市内最大の出力を持つ急速充電ステーションで、液冷式充電スタンドの最大出力は600キロワット。5分の充電で300キロ走行でき、「1秒充電で1キロ走行」の充電体験を提供している。

 広東省広州市海珠区の完全液冷式急速充電スタンドでは充電と同時にバッテリー検査も行う。利用者の孫(そん)さんは「一般的な急速充電施設では40分から1時間ほどで満充電になるが、今回は10分で80%に達し、時間を短縮できた」と話した。中国南方電網は2023年12月、同市に粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア)初の太陽光発電、完全液冷式急速充電、車両検査などを一体化した革新的なスマート急速充電ステーションを建設した。

中国各地で新エネ車の急速充電施設が充実

北京市で開かれたエネルギー貯蔵国際サミットおよび展示会で、ファーウェイ傘下の華為数字能源技術(ファーウェイ・デジタルパワー)が開発した完全液冷式急速充電システムに関する展示を見る来場者。(4月11日撮影、北京=新華社記者/尹棟遜)

 福建省の福州城投新基建集団は通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と連携し、充電スタンド計337基を備えた急速充電ステーション13カ所を稼働させ、省内最大の都市型充電ネットワークを構築した。サービス提供回数は累計約40万回に上っており、高い稼働率を実現している。

 中国電力企業連合会の劉永東(りゅう・えいとう)副秘書長によると、急速充電の技術革新と産業発展はシステム工学の分野に属している。高出力、大電流は急激な温度上昇をもたらすため、急速充電技術はまず、バッテリーの熱暴走を防ぎ、使用寿命に致命的な影響が出ないようにする必要がある。また高出力充電には電気自動車バッテリーの高電圧化や、充電器とコネクター、ケーブルの冷却という問題が伴う。投資銀行の中国国際金融(CICC)がこのほど発表した報告書は、液冷式急速充電が産業チェーンの高度化を促し、26年の国内市場規模は90億元(1元=約22円)近くに上り、自動車メーカーやエネルギー企業の主導の下、液冷式急速充電ステーションの数が同年に4万5千カ所に達すると予測している。

 中国では急速充電が産業化の初期段階にあり、将来的に年間の市場規模が100億元に達すると見込まれている。走行距離への不安を解消し、環境に配慮したグリーンモビリティーを活性化することが期待される。(記者/沈氷潔)

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