測量の専門的な技術習得を目指すインターンシップ生と力を合わせ、人材不足解消に取り組む会社 帰国後も協力し合う関係に 岩手・盛岡市

多くの業種で人手不足が深刻化しています。
そうした中、人材確保に向けてアジアの国々からインターンシップの学生の受け入れを始めた盛岡市の測量会社を取材しました。

盛岡市にある吉田測量設計は、測量や橋梁の維持管理など公共・民間のインフラ整備を行っている会社です。

社員が持つ技術士・測量士などの資格は170を超えますが、そんな技術集団で今、人手不足が深刻化しています。
(吉田測量設計 金子桂部長)
「近年、各部署からやはり人材がほしいという声が多くなって、ここ2年ぐらいはよく聞くようになりました」

河川、道路、下水道などさまざまな測量や建設の現場で今、3次元の地形データに構造物の部材や強度などのデータを付け加えた、BIM/CIMという図面の活用が進んでいます。

このため、工程の初期にあたる測量段階での作業が高度化し、業務量も増えているのです。
人手不足に悩む会社に今月、タイからインターン生がやってきました。

タイのチュラロンコン大学で測量工学を学ぶダニエル・ソラジャワットさん20歳は、インターン生として3D図面の作成や測量の研修を受けています。
(ダニエル・ソラジャワットさん)
「面白いのは測量です。なぜなら、使っている 道具がハイテクで、タイでは学んだことがないものだからです」

タイではまだ一般的ではない、BIM/CIMを実地で学んで将来に役立てたいと考え、インターンに応募しました。

給料で渡航費や滞在費を賄うことができます。
ダニエルさんの受け入れを力強くサポートしているのが、フィリピン人のホセ・ライエスさん31歳です。

2019年に吉田測量設計に入社したホセさんは、測量や3D図面の技術指導に加えて、日本語の習得や社宅での共同生活など、さまざまな面でサポートしています。(ホセ・ライエスさん)
「若いですから、すごく賢い。操作も教えやすいです。多分、次はたくさんの学生が会社でインターンシップやりますから、今は私も研修します。先生の教える方法を私も学びたいです」

吉田測量設計ではタイやフィリピンの有名大学と協定を結び、現地でのジョブフェアにも参加するなど今後、インターン生の受け入れをさらに加速させる計画です。

この日のは、ダニエルさんの研修の進み具合についてリモート会議が開かれました。
会議には2人のベトナム人の姿も・・・。

チェン・ゴックさんは2019年までこの会社で働いていましたが、今は母国に帰りインターネットを介して3次元図面の仕事を会社から請け負っています。
(チェン・ゴックさん)
「2次元図面から高さのデータをもらって3次元図面を作成することです。ベトナムに比べて(技術が)とても高いです」
(吉田測量設計 金子桂部長)
「それぞれの都合で戻られたんですが、弊社で培った技術をそのまま終わりにしてしまうのではなく、引き続き仕事を続けていただいて弊社の力になっていただければなと」

高い技術を習得したいアジアの国の人々と、将来的な人材確保を目指す企業、国境を超えたジョブシェアが今、進んでいます。

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