「登頂を諦める決断も必要」閉山中の富士山が危ないワケ 法的規制はなく最後は"自己責任"=静岡県

またも起きた閉山期間中の遭難事故。富士山は冬山はもちろん、この時期でも危険は多く、専門家は「登頂を諦める決断も必要」と警鐘を鳴らします。

【写真を見る】「登頂を諦める決断も必要」閉山中の富士山が危ないワケ 法的規制はなく最後は"自己責任"=静岡県

<三島乾児カメラマン>
「富士山山頂火口内です。いま、行方不明者を山岳救助隊が担架を使い、運び上げています」

3人の遺体が見つかった富士山頂火口。夏山シーズン開始(7月10日)まで残り2週間となってもいまだ、多くの雪が残っています。

<登山家 實川欣伸さん>
Q. 山頂は、注意が必要?
「特に今年の場合ですと、剣ヶ峰の下のところがちょうどお鉢を回る登山道になっているんですよ。そこはまだ積雪がだいぶありますので」

先週も富士山登頂を果たした「ミスター富士山」實川欣伸さん。閉山期間中の山頂は特に注意が必要だといいます。

<登山家 實川欣伸さん>
「アイゼンも持ってないで、そこら辺を歩こうとすると一気に滑落する可能性は十分です」

中でも、一番危険なのは突風。経験豊富な實川さんでもけがをした経験があります。

<登山家 實川欣伸さん>
「9.5合の山小屋を抜けたところで突風に吹かれて、私は上に上げられまして、もろに岩の上に落とされてひどい目に遭いました」

独立峰の富士山は周辺にさえぎるものがなく常に風向きも変化します。さらに、天候も急変しやすいことから「登頂を諦める決断も必要」と警鐘を鳴らします。

<登山家 實川欣伸さん>
「とにかく危険だと思ったら命より大切なモノはないわけですから、リタイアするとそういった気持ちが一番大切」

遭難事故が起きるたびに話題にのぼる「閉山期間」。しかし、この期間でも登山自体に法的な規制はなく閉鎖されている登山道以外は、登れてしまうのが現状です。

県も対応に苦慮しています。

<静岡県富士山世界遺産課 大石正幸課長>
「(富士山は)本当に大変過酷で、時として危険な山だっていうところで、どうやって周知していくかというところが課題」

県では登山計画書の提出を求めていますが、これ自体が登山の許可ではないため、最終的には自己責任での判断になります。

<静岡県富士山世界遺産課 大石正幸課長>
「静岡県に留まらず、どういった取り組みが必要かということは、また考えていく必要があると考えています」

© 静岡放送株式会社