松本サリン事件30年 化学兵器のテロに備え消防が訓練 隊員が危険に晒されることを想定

長野放送

松本サリン事件から6月27日で30年です。世界で初めて市街地に「サリン」がまかれたこの事件。地元の消防局は、化学兵器などを使ったテロに備えた訓練を続けています。

消防の訓練:
「間もなく消防隊向かいます。通報者の方、そのまま待機してください」

松本広域消防局が定期的に行う「特殊災害対応連携訓練」。

27日は、集客施設で何者かがペットボトルに入れた液体をまいて、複数名が倒れたという想定で約60人が参加しました。

事件後の2002年に発足した「特殊災害対応隊」などが、まかれた液体を調べ救助にあたります。

テントの中では体に付いた液体を丁寧に洗い流します。

市民はもちろん、消防隊員自身が危険に晒されることを想定した装備や救助の手順は30年前の事件を経て取り入れたものです。

当時、現場に駆け付けた隊員の中にはサリン中毒の症状が現れた人もいました。

救急隊として活動・芳川消防署・中村潤署長:
「(現場は)異様な感じだったので、これはどういうことが起きているのかなと。活動時に息苦しいとかは感じられなかったが、後から、縮瞳や鼻水、そういう症状が出た」

隊員の安全を確保した上で速やかに救助するノウハウは事件を知らない隊員にも伝えられています。

芳川消防署・特殊災害対応課隊・西村一輝隊員(26):
「特殊災害は目に見えないものですので現場に着いたときに、草木が枯れているとか、動物が死んでいるとか、そういうものをちゃんと見ていきたい」

松本広域消防局・武田浩明 統括警防技術指導責任者:
「自分たちで危険な環境の中で、いかに安全をつくり出して活動ができるか、そこを目標として意識させながら訓練を実施している」

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