重要指名手配・八田與一容疑者の似顔絵公開 長髪、ひげ…容姿七変化 県警「逃亡生活で顔を隠している」大学生死亡ひき逃げ事件から2年

大分県別府市で2022年6月に起きた大学生死亡ひき逃げ事件から29日で2年。この事件で重要指名手配されている八田與一容疑者(27)は、いまも逃走を続けている。大分県警は28日、八田容疑者の現在の容姿を予想した似顔絵を新たに公開。改めて情報提供を呼びかけている。

逃亡生活で顔を隠そうと…

似顔絵は、大分県警から依頼を受けた沖縄県警教養課に所属する警察庁指定広域技能指導官、安里秀明警部補(63)が作成。捜査用似顔絵の指導官は、全国で2人しかいないという。

28日は、現在の容姿を予想した6種類を公開。長髪やひげを生やしたり、眼鏡を掛けたりした似顔絵が描かれている。県警は「逃亡生活でできるだけ顔を隠そうとするのではないかと予想した。印象を変えて違う視点で見てもらいたい」と意図を明かした。

八田容疑者の似顔絵は、情報提供を呼びかけるチラシやポスターに使われるほか、県警のSNSやホームページでも公開する。

県警本部長「このまま2年を迎えたくない」

県警によると、5月末までに寄せられた情報提供は5444件。このうち、八田容疑者に似た者の目撃情報は、全体の9割を超える5063件。目撃情報の内訳は、関東が1962件、次いで大分以外の九州が668件、近畿が627件、県内が403件となっている。

県警はこれまでに八田容疑者の動画を公開するなどして捜査を進めているが、いまだ解決には至っていない。

種田英明本部長は5日の定例会見で、「このまま2年を迎えたくはない。警察の総力をあげて身柄確保と真相解明に取り組む」と語った。

また、後藤和樹交通部長も「誠に遺憾であり、被害者とご遺族のお気持ちは察するに余りあります。被疑者の身柄確保と事件の真相解明に全力で取り組んでまいります」と述べた。

警察は29日、事件現場周辺のほか、東京、大阪、福岡でチラシを配布し、情報提供を呼びかける。

悪夢のような日から2年…遺族が心境

事件発生から2年。遺族が以下の通り、コメントを発表した。

6月29日が近づくにつれ、気持ちが乱れていることに自分自身気がつきます。あの信じられない悪夢のような日から2年。息子が突然目の前からいなくなり、いつまでも犯人が捕まらないという信じがたい現実。末だに思いきり声をあげて泣くことができていません。

(中略)いつ捕まるのか、捕まるかどうかも分からない不安に加え、迫りくるあと5年という時効の壁。一体いつまで私たちは八田與一を追い続けるのだろう。終わりの見えないこの苦しい活動をいつまで続けなければいけないのだろう。重要指名手配ポスターに並ぶ八田以外のあまりにも古い写真を見ては、そう思うのです。

どうかお願いです。「救護義務違反」ではなく時効のない「殺人罪と殺人未遂罪」に早く切り替えて、全国での全力捜査、事件の早期解決を望みます。

大学生と直前にトラブル…故意に追突か

事件が起きたのは2年前の2022年6月29日。別府市野口原の県道で赤信号で停車中のバイク2台に八田容疑者が運転する軽乗用車が追突。大学生1人が死亡し、1人がけがをした。

八田容疑者は事故の通報や2人の救護措置を取らずにその場から逃走。周辺の防犯カメラには裸足で走って逃げる八田容疑者の姿が捉えられていたが、約2キロ離れたヨットハーバーの近くで足取りが途絶えた。

八田容疑者は亡くなった大学生と事件直前に近くの商業施設でトラブルとなっていたことがわかっている。また、八田容疑者の車は少なくとも制限速度の2倍にあたる時速80キロ以上で走行し、現場にはブレーキ痕や避けようとした形跡がないことなどから故意に追突した可能性があるとみられている。

警察庁は事件の凶悪性を鑑み、八田容疑者について去年9月に道路交通法違反では全国初となる重要指名手配に指定。捜査特別報奨金の対象事件にも指定され、有力な情報提供者には公的懸賞金として300万円。遺族による私的懸賞金500万円も含めると上限額は800万円となっている。

情報提供先:【大分県別府警察署】0977-21-2131

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