企業の情報流出を想定 長崎、埼玉両県警など3者が初訓練 東彼杵のウラノで

 民間企業の技術情報流出を想定し、長崎県警は27日、埼玉県警、金属加工業のウラノ(埼玉県上里町)の3者で共同対処訓練を実施した。県内と埼玉をオンラインで結び、一連の捜査の流れを確認した。
 県警は昨年4月、外事課内に経済安全保障の担当係を設置。担当者が企業や大学で講話や情報提供を行ってきた。今回、埼玉県警からの要請もあり、初めての対処訓練に取り組んだ。
 訓練では、会社機密の製品データが社内のネットワークから大量にダウンロードされた事案を想定。ウラノ埼玉本社が埼玉県警に通報し、情報流出源とみられる東彼東彼杵町の長崎工場に長崎県警の捜査員が駆けつけた。捜査員はパソコンや金属加工機械を調査し、防犯カメラ映像の提供を求めた。訓練の後、経済産業省の担当者が経済安全保障に関して講話した。
 ウラノ長崎工場リーダーの中川内浩二執行役員は「情報セキュリティーの訓練は初めてだった。情報流出は会社の信用を損なう。従業員の意識向上と指揮系統の見直しを図りたい」と振り返った。
 県警の山口秀寿外事課長は「先端技術の流出防止は国益を守ることにつながる。今後も訓練をやっていきたい」と話した。
 県警によると、昨年の営業秘密侵害での検挙は1件。

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