俵町商店街「ツバメの見守り」 日本野鳥の会から協同組合へ感謝状 子育ての数も増え

感謝状を受け取った川下理事長(左から2人目)と、中島さん(右から2人目)=佐世保市俵町

 日本野鳥の会は、ツバメの子育てを見守っているとして佐世保俵町商店街協同組合(川下雄太郎理事長)に感謝状を贈呈した。佐世保市俵町の俵町商店街の各店舗は長年にわたり見守っており、特に10年程前から子育てをするツバメの数が増えたという。
 農耕地の減少や、軒がなかったり短かったりする現代風家屋の増加などでツバメが子育てをできる環境が減っている。同会は、このような状況を多くの人に知ってもらい、ツバメと人との共存が続くことを願って2019年度からツバメの巣や生息環境を見守る団体に感謝状を贈呈している。
 商店街の巣が作られた店では、巣の下に板や籠を設置して保護するなど子育てをサポート。ふんを受け止める段ボールを敷いたり、こまめに掃除をしたりと衛生管理にも気をつけている。日本野鳥の会県支部の今里順一郎副支部長は「商店街の皆さんの優しい気持ちが子育て環境を育んでいる」と話す。
 中島鯨商店代表の中島満彦さんは約10年前から本格的に見守りを始めた。巣が雨にぬれて崩れそうになっていたため、草などを詰めた籠にヒナを移し替えてぬれない場所に移動させたことがきっかけ。以来、巣の下に板を置き、カラスよけのひもを張るなどして毎年の飛来を楽しみにしている。中島さんは「ツバメの巣作りは縁起がいいと言われている。ふんの掃除は大変だがそれ以上にありがたいという気持ちでしている」と笑顔を見せた。
 同組合多目的休息所さくらスタンプ広場で19日、今里副支部長が川下理事長=田中精肉店社長=に感謝状を手渡した。川下理事長は「幼いころからツバメの子育ては暮らしの一部で普通のことだったので、感謝状には驚いた」と話し、「ヒナの姿は愛くるしい。今後もこれまでと変わらず、いつも通り見守っていく」と穏やかに話した。

籠に移し替えられたヒナたち=佐世保市俵町(2013年撮影、中島さん提供)

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