広島・坂倉将吾は打てば打つほど遠のく正捕手の座 「負担少ない一塁で打撃を...」のジレンマ発生

坂倉将吾(C)共同通信社

悩める男が試合を決めた。

昨27日のヤクルト戦。1点を追う九回、2死一、二塁から、坂倉将吾(26)が放った打球は左前へ。左翼の山崎がダイビングキャッチを試みるも、ボールが後方へ転々とする間に2者が生還。劇的な逆転サヨナラ打となった。

前日26日のヤクルト戦で80打席ぶりの4号ソロ。復調気配を見せていたが、それでも今季の打率は.206。試合前まで月間打率は.107の絶不調だった。この日の「7番」という打順が示すように、6月は極度の不振から20試合中、先発マスクは7戦のみ。この日は一塁で出場し、5年目の石原がマスクをかぶっていた。さるチーム関係者がこう言う。

「きのう新井監督が『これだけ(坂倉が)バッティングで苦労するのは初めてじゃないか、目の前の試合はもちろん全力で戦うけど、先のことも見ている』と心配していた。もともと坂倉は、捕手としてより打撃の評価が高い。だから、一塁、三塁、外野とポジションを代えながら試合に出てきた。本人は『打てる正捕手』にこだわっているが、この日は一塁手としてサヨナラ打。打てば打つほど、捕手はこの日の石原やベテラン会沢に任せて、負担の少ない一塁で打撃力を生かしてくれ! となりかねません」

坂倉は「(石原)貴規さんが必死に粘りながら、という打席を目の前で見ていた。回ってきたら、なんとかしようと思っていた」と直前に13球を投げさせた石原の名前を出した。「みんなで勝った試合」と汗をぬぐったが、殊勲の一打で「打てる捕手」の座が遠のいたかもしれない。

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坂倉の打撃について以前、日大三高の恩師、小倉全由監督は「打撃開花の裏に鈴木誠也あり」と分析していた。実は坂倉と鈴木は出身高校は違えど小倉監督の「兄弟子」の関係なのだ。いったいどういうことか。

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