無病息災願う“茅の輪くぐり”の参拝客に「夏越パン」配布 松川村の神社とパン店が連携

長野放送

長野県松川村の神社で茅で編んだ輪をくぐって無病息災を願う「茅の輪くぐり」の参拝客に、あるパンが配られました。行事に親しんでほしいと神社とパン店が連携して開発したものです。

茅で編んだ輪をくぐる家族連れ。無病息災を願い毎年6月下旬に行われる「夏越の祓」の「茅の輪くぐり」です。松川村の細野神社でも6月24日、多くの参拝客が輪をくぐっていました。

今年は、参拝客にあるものが配られました。2色の生地で丸い輪の形をしたパン。その名も「夏越パン」です。発案したのは、宮司の平林さんです。

「夏越パン」を発案した・平林秀文宮司:
「近年、参拝する方が少なくなっているように思う。ぜひこの行事を知っていただきたい。行事食というそれにちなんだ食に関するものができないかなと考えていて」

京都では「夏越の祓」の際、ういろうの上に甘く煮た小豆をのせた「水無月」という和菓子を食べる風習があります。

「水無月」のような行事に親しむきっかけとなる「食べ物」を考えていた平林さん。思いついたのがパンでした。

「夏越パン」を発案した・平林秀文宮司:
「みんなで分けられるもの、茅の輪の形を模したものにならないかと考えて」

開発を依頼されたのが村内にあるパン店「いぐパン」です。

13年前に関西から移住してきた井口さん夫婦が営み、国産小麦を使ってあんこやクリームまで手作りにこだわったパンが人気です。

平林さんからの依頼の内容はー

いぐパン・井口由紀さん:
「もっと若い人たちにも(神社を)身近に感じてもらえたらという話で、緑の輪っかのものをお願いしますという話だった」

試行錯誤の末、完成したのが「夏越パン」。普通の生地と抹茶を練り込んだ緑の生地をねじって茅の輪を表現しました。生地の中には、小豆の代わりに甘納豆が入っています。

いぐパン・井口正治さん:
「(小豆は)縁起物でもあるし、魔をはらうという意味もあるので、練り込んでアクセントをつけた。(家族で)一口ずつでも食べてもらい、記憶に残るようなお参りになってもらったらいい」

この日は、100個を用意し、茅の輪をくぐった参拝客に配りました。

参拝客:
「うれしい」
「一年、無病息災で平和に暮らせるように(願いながら)食べたい」

パンは、28日と29日、平林さんが宮司を務める村内2カ所の神社でも配る予定です。

パンを食べた参拝客:
「小豆も入っているんですね、おいしい」

神社とパン店が連携した「夏越パン」。平林さんは、来年以降も続けていきたいとしています。

「夏越パン」を発案した・平林秀文宮司:
「(疫病などの)災難を避けるといった願いが強くこもった行事、『夏越パン』をきっかけに多くの人に知っていただけたらと思う」

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