海のシルクロード渡来の文化財を展示 中国・北海市の博物館

海のシルクロード渡来の文化財を展示 中国・北海市の博物館

19日、合浦漢代文化博物館の至宝とされるペルシャ壺。(合浦=新華社記者/黄浩銘)

 【新華社北海6月28日】中国広西チワン族自治区北海市合浦県に、古代の「海のシルクロード」の活発な交易の様子を伝える合浦漢代文化博物館がある。同県で見つかった漢墓群から出土した文化財5200点以上を収蔵、東南アジアや南アジア、西アジア、地中海地域から渡来した収蔵品が多く展示されている。

海のシルクロード渡来の文化財を展示 中国・北海市の博物館

19日、合浦漢代文化博物館収蔵の漢代の副葬品「蓮花頂」。(合浦=新華社記者/黄浩銘)

 同館で最も重要な文化財とされるのが、2階の展示ホールでスポットライトを浴びてエメラルド色に輝く陶製のペルシャ壺(つぼ)。林娟(りん・けん)副館長によると、中国で出土した最古のペルシャ壺であり、後漢時代の唯一のものでもある。この発見で、2千年以上前の中国とペルシャ帝国に緊密な貿易往来があり、海のシルクロードが双方を結んでいたことが証明されたという。

海のシルクロード渡来の文化財を展示 中国・北海市の博物館

19日、合浦漢代文化博物館収蔵の緑柱石と水晶の装身具。(合浦=新華社記者/黄浩銘)

 合浦漢墓群は2021年、中国現代考古学の「百大発見」の一つに選ばれ、海外のガラス器も大量に出土している。地中海地域のローマ時代のガラス碗(わん)は、珍しい出土品の一つだ。広西民族大学の熊昭明(ゆう・しょうめい)教授によると、化学成分の分析で、碗の原料が地中海沿岸のソーダ石灰ガラスであることが確認され、インドなどを経て合浦に渡来したことが分かった。

海のシルクロード渡来の文化財を展示 中国・北海市の博物館

19日、合浦漢代文化博物館収蔵の漢代の装身具「金花球串飾」。(合浦=新華社記者/黄浩銘)

 古代ローマ人が瑪瑙(めのう)を好んだことを反映し、見つかったガラス碗も単色ではなく、瑪瑙に似せた色づけがなされている。「精美なガラス製品は当時、金よりも値打ちがあった。合浦漢墓から出土した数多くの貴重なガラス器は、漢代の海上貿易の繁栄と人々の生活の豊かさを示す重要な証拠だ」と熊氏は語る。

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19日、合浦漢代文化博物館収蔵の建物に似せた副葬品「陶屋」。(合浦=新華社記者/黄浩銘)

 合浦県海のシルクロード世界遺産申請センターの藍胤天(らん・いんてん)副主任は「漢代の海のシルクロードは貿易ルートだけでなく、文化交流や科学技術伝播のルートでもあった」と指摘する。「考古学者はすでに東南アジアや南アジア地域で、漢代に作られた銅鏡や陶器などを発見している。西洋のガラス製造や真珠取り、宝石加工などの技術も海のシルクロードを経て中国に伝わった」(記者/黄浩銘)

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