単独首位に立った夜は“食事当番” 藤田寛之が全米制覇へハーフウェイ「自分でもビックリ」

藤田寛之が海外シニアメジャーで単独首位に立った(提供:USGA)

<全米シニアオープン 2日目◇28日◇ニューポートカントリークラブ (ロードアイランド州)◇6954ヤード・パー70>

海外メジャーに出場することでモチベーションを上げていたレギュラーツアー時代。55歳となった今では、それがシニアメジャーに変わっている。2年連続で「全米シニアオープン」に出場している藤田寛之が、2日目を終えて単独トップに立った。

初日は朝のスタートで比較的コンディションも良かった中で7アンダーをマーク。首位タイで滑り出した。2日目は午後のスタートで出だしから強い風が吹きつける。それでも出だしの10番からグリーンの傾斜をうまく使いベタピン。バーディ発進とすると、一気に勢いがついた。

藤田の言葉を借りれば、「きのう、いいプレーができて、きょうもこういうプレーができるとは正直思っていなかったです」。5ホールで3つ伸ばすと、前半を4アンダー。単独首位で後半に向かった。「全体的にショットが安定しているところと、グリーンのアンジュレーションに助けられて、ピンのほうに寄っていったりしている。そういうところがうまくいっている要因だと思います」と冷静に分析するが、それも「まだ2日目」という気持ちがあったからだ。

好調なゴルフには「自分でもちょっとビックリして。まだ2日目ということもあって、自分の中でも楽しみながら変なプレッシャーがなくできましたけど、これがどんどんナーバスになるのかなと思います」。決勝ラウンドを首位で迎えてどうなるか。未体験のゾーンは楽しみでもある。

リーダーボードを見ればシニアで絶対的な地位を築くスティーブ・ストリッカー(米国)やレティーフ・グーセン、アーニー・エルス(ともに南アフリカ)といった全米チャンピオンがズラリ。そんな戦いのまっただ中。『あすに向けてどんな準備を?』と聞かれれば、インタビュアーも笑うしかない答えを返すのもシニアならでは。

「きょうはボクが料理の当番なので、料理を作って、ご飯を食べて、ぐっすり寝て、あしたを迎えたいなと思います」。残り36ホール。藤田が言うように緊張感は増していくはずだ。まずは悪天候予報のムービングデーをどう乗り切るか。日本ツアーを席巻した“中年の星”が、米国で存在感を示す時が来た。

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