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明治安田J1リーグ第20節、名古屋グランパス(以後、名古屋)対浦和レッズ(以後、浦和)戦が行われた。浦和では今夏、キャプテンのディフェンダー(以降、DF)酒井宏樹がオークランドFC(ニュージーランド)、副主将のDFアレクサンダー・ショルツがアルワクラ(カタール)、ミッドフィルダー(以降、MF)岩尾憲がJ2徳島へ移籍する見通しだ。チーム主軸3人が移籍する異例の事態となった浦和だが、試合は前半7分に渡邊凌磨の得点によって、0-1で浦和の勝利に終わった。
73分の浦和CK「ニアサイドに8人」の守備陣型
コラム前半では、7分の得点シーンを解説したが、続いては73分の浦和のコーナーキック(以降、CK)の場面を分析しよう。
73分の浦和のCKの場面。名古屋はニアサイド方向に8人がいる。ファーサイドには1人の選手を置く。おそらく名古屋は、浦和がCKの際にニアサイドに放り込んでくるとデーターで確認しているので、こんなにもニアサイドに選手を置いているのだろう。
さらに、ゴールキーパーのランゲラックはファーサイドに強い選手なので、ファーサイドにきたボールは前に出て弾き返すやり方をすると想定しての配置なのだろう。こんなにも極端な守備陣型をとる必要があったのは疑問に思う。
続いては83分、右サイドから名古屋がクロスを上げた場面を見ていこう。
83分の名古屋クロス「空いた裏のスペース」のケア
右のタッチラインで名古屋の選手がボールをもったときに、浦和の選手3人は横並びになっている。
ここではまず、浦和の大畑歩夢が縦を切る守備をしないといけない。なぜなら、名古屋の2人の選手は裏のスペースを狙っているので、縦を切って中にボールを出させるようにしないといけないのだ。
さらに、安居海渡と岩尾憲(67分IN)が同じタイミングで右足に体重をかけて、名古屋の2人の選手にプレッシャーに行こうとする。
タッチライン近くてボールがいったん止まったときに、安居か岩尾のどちらかが空いている裏のスペースをケアしなければいけなかった。だが、名古屋の選手が裏に抜け出してから後追いしている。また、後追いするならば、最後まできちんとついていかなければならない。
今季の岩尾のプレーには迷いがある。なかなかフィットしていない。この場面でカバーに行けたのが岩尾なのは、明らかなことだ。なぜ、ポジションを離れても人についていかなったのか不思議に思う。
アレクサンダー・ショルツ(アルワクラ=カタール)も酒井宏樹(オークランドFC=ニュージーランド)も岩尾(J2徳島)も浦和から別のチームに移っていく。世代交代と言っていい流れだ。
正直に言って、彼らのチームへの貢献度は高いものがあるが、じゃあ、チームにとって伸び代があるのかどうかと考えたときに、その答えに「イエス」とは言えない。ベテランに求められるものは、得点差と時間経過を考慮したプレーである。厳しい意見かもしれないが、中途半端なプレーが目についてしまっている。したがって、致し方ない現実なのだろう。