LPガス料金、どうやって決まる? 宇都宮の69歳男性から疑問 最初は安かったが…相談も

住宅に設置されたLPガスのメーターとボンベ

 光熱費の高騰が家計を圧迫している。家計負担の軽減を図る世帯が多い中、宇都宮市、運転手男性(69)から「プロパンガス料金はどのように決められているのか」という疑問が、下野新聞「あなた発 とちぎ特命取材班(あなとち)」に寄せられた。取材すると、ガスの単価などは各社が独自に設定していることが分かった。栃木県内の消費生活センターなどには、プロパンガス料金の引き上げなどに関する相談も相次いで寄せられている。

 運転手の男性は約40年来、宇都宮市内のガス会社と契約してきた。見直しを考えたのは約3年前。娘夫婦が県外のガス会社と契約するといい、男性もその会社に切り替えると、「月額料金が半分近くになる」と知った。

 男性が契約の切り替えを検討していたところ、従来のガス会社から料金の大幅な引き下げを打診された。男性は極端な料金変更に驚き、「今まで必要以上に支払ってきたということか」と疑念を抱いたという。

 県LPガス協会によると、ガス料金は「基本料金」と「従量料金」で構成する。このうち基本料金は、ガスメーターやボンベの整備費、配送費、人件費などで設定される。従量料金は、業者がそれぞれ設定するガス単価と、契約者が使用した量を基に算出される。単価は使用量や仕入れ価格によって変動する業者もあれば、固定の業者もあるという。

 石油情報センターのホームページを見ると、本県の平均料金(4月)は、基本料金が1790円、ガス使用量(5立方メートル当たり)の従量料金は5084円だった。

 協会によると、契約継続のために料金の引き下げを打診するケースは珍しくない。県内のあるガス業者は「ガス料金は根拠に基づいて設定している」と強調する。その上で、今回の運転手男性に引き下げを打診した業者については「客を取られないよう、かなり無理をしたのではないか」とみる。

 業界関係者は「最初は料金を安く設定しておいて、契約した後、徐々に料金を引き上げる業者も中にはある」と打ち明ける。

 県くらし安全安心課によると、県内の消費生活センターに近年、寄せられるガス料金関連の相談では、「料金が頻繁に引き上げられている」との内容が目立つ。想定以上の金額に悩む消費者は少なくない。

 宇都宮市を拠点とするファイナンシャルプランナー池田猛(いけだたけし)さん(72)は「ガスの料金が安ければいい、というわけではない。サポート体制なども踏まえ、ガス会社を選ぶことが重要」とアドバイスする。

 最終的に契約を切り替えた運転手の男性は「なぜこの料金になっているのか、多くの人が意識を向けるようになるといい」と話した。

ガス料金高額化、賃貸でも

 県LPガス協会によると、全国の賃貸住宅の中には、部屋のエアコンなどをガス業者が整備する物件がある。その整備費用がガス料金に上乗せされ、高額になるケースが相次いでおり、県内でも発生しているという。

 ガス料金の透明化が必要として、経済産業省は4月、液化石油ガス法を一部改正する省令を公布。7月以降、段階的に施行される。これに伴い、ガス業者の変更を制限するための違約金など、従来の条件付きの契約は禁止され、ガス会社のエアコン整備などの営業行為も制限されることになる。

© 株式会社下野新聞社