「ゾーン30」の整備強化 信号機老朽化で栃木県警 県内63カ所、最高速度30キロに制限

ハンプと赤色の塗装で車両に減速を促す「スムーズ横断歩道」を渡る児童ら=6月中旬、栃木市入舟町

 栃木県警が交通事故抑止策として、通学路や住宅街などの区域で車の最高速度を時速30キロに制限する「ゾーン30」の整備を強化している。3月末までの県内の整備地区は63カ所で、2012年度の運用開始時の5カ所から大幅に増えた。県内で信号機の老朽化や更新が課題となる中、県警は市町と協力し“面的”な対策を勧める考え。

 6月中旬、栃木市栃木中央小南側の横断歩道。高さ約10センチのスロープ状のハンプを設け、赤色に塗装した「スムーズ横断歩道」を車両が減速しながら通過していく。

 周辺は最高速度を制限した「ゾーン30」。新たにスムーズ横断歩道が設置されたことで、3月から「ゾーン30プラス」として運用されている。同校の小平享子(こだいらきょうこ)教頭は「車両が減速してくれ、信号機がないため児童が左右をしっかり確認する大切さも学べる」と語る。

 県警によると、ゾーン30は国の事業の一環で、県内での運用は12年度、宇都宮市内など5カ所で始まった。通学路や生活道路など比較的狭い道路が入り組む一帯で導入が進んでいる。

 ゾーン30プラスは速度規制したエリア内で、ハンプ、スムーズ横断歩道、クランクなどを組み合わせる。県警は「減速や一時停止を促す効果が高い。信号機の新設や更新より費用が抑えられ、維持管理費もかからない」と利点を説明する。

 県警は事故抑止対策として「信号機は万能ではない」とし、「ゾーン30」や「ゾーン30プラス」、円形状の環状交差点(ラウンドアバウト)の整備を推進する。そのためには生活道路の管理者である市町の協力が欠かせない。

 県警の高木克尚(たかぎかつひさ)交通部長は「信号機とは別の対策が効果的な現場もある。点ではなく面で安全を確保し、コストの削減にもつなげていきたい」とし、各市町への理解を求めている。

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