佐世保空襲から79年 「空襲は助かっても人生狂わす」 非戦の誓い新たに 長崎

犠牲者を悼み、献花する参列者=佐世保市平瀬町、佐世保市民文化ホール

 太平洋戦争末期に1200人以上の犠牲者を出した佐世保空襲から79年となった29日、長崎県佐世保市内で市主催の死没者追悼式が営まれた。遺族らが犠牲者を悼み、非戦の誓いを新たにした。
 市によると、1945年6月28日深夜から29日未明にかけて米爆撃機B29が約千トンの焼夷(しょうい)弾を投下。市中心部は明け方までに焼け尽くされた。家屋は全戸数の35%に当たる約1万2千戸が全焼。被災者は6万人超に上った。
 追悼式では、参列者約80人が黙とうし、献花。祖父ら7人を亡くした黒髪町の山口廣光さん(85)が遺族を代表して「空襲はせっかく助かった家族の人生も狂わせる。戦争は愚かなことで2度とあってはならない」と訴えた。
 佐世保空襲犠牲者遺族会は3月末、高齢化などを理由に解散した。宮島大典市長は「遺族会の思いをしっかり受け受け継ぐ。悲惨な記憶を風化させることなく継承し、平和の尊さを子々孫々まで伝えたい」と述べた。
 市立祇園中3年の新野絵菜さん(14)は「平和学習や資料で調べるなどして、犠牲者や遺族の記憶、思いを引き継いでいきたい」と話した。

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