「優勝“したい”ではなくて“できる”」堀琴音が無念のV逸で見た兆し

逆転を許した堀琴音。ツアー3勝目はおあずけとなった(撮影:佐々木啓)

<資生堂 レディスオープン 最終日◇30日◇戸塚カントリー倶楽部 西コース(神奈川県)◇6697ヤード・パー72>

「きょうは一日情けなかったです」。18ホールを終えた堀琴音は、報道陣の囲み取材で目を赤くしながら振り返った。

今週は悪天候の影響で2日目が中止となり、54ホールの短縮競技に変更された。週末も天候に恵まれず、最終日も後半から雨に降られた。そんな難コンディションで、第1ラウンド「67」、第2ラウンドを「68」で回った。しかし、トータル9アンダー・単独首位で挑んだ最終日に「72」と伸ばせず。桑木志帆に逆転を許した。

出てくる言葉は反省点ばかりだ。きょうは風が7.3m/sとやや強く、グリーンを狙うときのボールの弾道やクラブ選択が重要となった。「風を間違ってミスしたり、それでジャッジミスしたり。アイアンのタテ距離も合わなかったですし、もうちょっとどうにかできた一日だったかなと思います」。調子が悪くないからこそ、状況への対応がしきれなかったことに悔しさを残す。

久しぶりの優勝争い。当然プレッシャーはあった。「きょう一日けっこう緊張しっぱなしだったかな。でもそれが嫌な緊張ではなくて、すごく楽しみながら」と、目線を落としていた堀は顔を上げて、引きつった笑みを見せる。

「正直、すごく悔しい。去年の自分を考えると、本当に優勝はとんでもない感じで…。シードも落としてしまって、自信を失った」。昨シーズンはメルセデス・ランキング51位でシード喪失。自信回復のために是が非でも勝利を挙げたかったが、それはかなわなかった。

ただ、今大会でシーズン初のトップ10入り。2年ぶりの3勝目に向けて、この単独2位という結果が持つ意味は大きい。「最後の最後まで優勝争いができましたし、3勝目を“したい”ではなくて、“できる”って思えるようになりました」。時折、言葉を詰まらせながらも、最後は笑顔で気持ちの変化を明かした。

苦しい時期が続いたからこそ、これからの堀にとって糧となったに違いない。堀が再び優勝カップを掲げる日はそう遠くないだろう。(文・高木彩音)

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