まるであみだくじ…戦争遺構は総延長1.7キロ、地下に掘られた縦抗、横坑 魚雷整備担った旧垂水海軍航空隊の特殊地下壕調査結果を公表

魚雷整備のために造られたとみられる構造物の跡(垂水市教育委員会提供)

 鹿児島県垂水市が2023年度に実施した浜平地区の高尾崖周辺に残る旧垂水海軍航空隊の特殊地下壕(ごう)=浜平地下壕=について、同市が調査結果をホームページで公開した。魚雷の整備が主な役割であったと考えられる。工事が進めやすいシラス台地に掘られ、長さ約100メートルの縦坑11本とそれらを直角につなぐ横坑が整然と配置されているのが特徴となっている。

 東西に走る縦坑の高さや幅は約3.5メートル~3.8メートルのドーム状。横坑は約2.5メートル~3.5メートルで、11本の縦坑の端をつなぐように南北約170メートルに延びる1本と、あみだくじ状に縦坑をつなぐ短いものからなる。総延長は1.75キロで、これまでに見つかったひとまとまりの特殊地下壕としては九州最大規模という。内部面積は5138平方メートル。

 ディーゼル発電機用の燃料の貯蔵庫とみられる遺構や、電気の流れを調整する「がいし」といった遺物が見つかった。坑道内の一部では魚雷を支えるための構造物の跡とみられるくぼみや、コンクリートが敷かれた床面が発見されており、魚雷整備に使われたスペースと考えられるという。

 同市教育委員会の担当者は「シラス台地に掘られた地下壕というのは鹿児島ならでは。戦後、地域の人たちが使っていたという証言もあり、戦中、戦後の地元の歴史を考える上で重要な遺跡と考えている」と話した。

あみだくじのように広がる浜平地下壕の平面図(垂水市教育委員会提供)

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