能登半島地震の死因最多は圧死、被害抑制のかぎは「住宅補強」 耐震基準満たす割合が全国平均届かぬ鹿児島 「リビングや寝室だけでも改修を」と専門家

上層階に1階部分がつぶされた家屋=1月23日、石川県輪島市

 能登半島地震では、現行の耐震基準(新耐震基準)を満たさない建物の倒壊が相次ぎ、石川県内では8万棟を超える住宅に被害が出た。死因では圧死が最も多く、住宅補強が被害を抑える鍵となる。

 国土交通省の調査によると、震度6強~7の地震でも倒壊しないとする新耐震基準を満たす住宅の割合(耐震化率)は、輪島市で45%(2022年度)、珠洲市で51%(18年度)と、全国平均の87%(18年)を大きく下回っていた。

 高齢化が進む被災地では、多額の費用がかかるため、耐震化の改修を見送ったケースが多かったとみられる。鹿児島県も82.3%(同)と全国平均を下回っている。

 旧耐震基準時に造られた建物は(1)壁量が少ない(2)基礎に鉄筋が入っていない(3)建物の接合部を金物で支えていない-といった特徴がある。このため大きな揺れに弱く、大地震が起きると、屋根や2階部分が落ちてくるといった被害が出やすい。

 鹿児島県不動産鑑定士協会の山口幸太郎監事(65)は「県内は旧基準で造られた古い家が多く、空き家も増えている」と課題を指摘する。一人暮らしの高齢者住宅が多いことから、鑑定士の大吉修郎さん(58)は「リフォームでの耐震化が可能だが、二の足を踏むかもしれない」と懸念する。

 対策として同協会は「リビングや寝室だけでも新基準に合わせて耐震化するのが有効」とする。改修には工事費に対する自治体の補助や減税制度などもあり、自治体への相談を勧める。

多くの家屋が倒壊した石川県輪島市

© 株式会社南日本新聞社