能登半島地震の『復旧・復興ロードマップ』に見る“住宅復旧”スケジュールと“地震への備え”

能登半島地震から半年。
復興は、まだこれからという状況で、梅雨に入り心配が増しています。
あらためて、富山県が示しているロードマップで住宅の復旧スケジュールを確認していきます。

まず、氷見市、高岡市、射水市で始まっている住宅の公費解体について、県のロードマップでは来年度中に完了する見通しです。

そして、下水道の復旧です。
現在も被災地には、下水管がゆがんだり勾配が変わったりして、水が流れづらくなっているところがあります。
復旧工事は、再来年度、2026年度末の完了を目指します。

また、液状化対策については、現在、各市で土地にあった工法を決めるための地盤調査が行われています。
これが終わり次第、適切な工法を検討し、住民への説明を経て対策工事に着手します。

また、能登半島地震を機に県が力を入れているのが住宅の耐震化です。

県建築士事務所協会によりますと、県内の耐震診断の申し込み件数は急増していて、今年の元日以降だけで1118件と、一昨年度1年間の198件を大きく上回っています。

県は、耐震診断の費用を9割補助している他、実際に改修する場合は最大120万円、さらに今年度から工事の設計に対しても、補助率3分の2で20万円を上限に費用を補助しています。
県は来年度までに、耐震化率90パーセントを目指す考えです。

多くの企業や自治体で、防災・危機管理のアドバイザーを務める防災システム研究所の山村武彦所長は耐震化の重要性を強調します。

*防災システム研究所 山村武彦所長
「今回の能登半島地震もそうだが、熊本地震あるいは阪神淡路大震災の時も、亡くなった人の8割が建物の倒壊によるもの。まず命を守るためには、(建てた時期が)2000年を一つの目安として耐震性があるかどうか。自分の家の耐震診断をして、必要であれば早い段階で耐震補強をすることが重要」

そして、今回の地震で、あらためて、日頃からの家庭での備えの大切さが認識させられました。

まずは、建物内の耐震化のために家具を固定。
ホームセンターなどに売っているL字金具が有効です。

そして、避難グッズです。
ケガをした時に必要なエイドキットや使い捨て用の携帯トイレ、いつも飲んでいる薬、女性は生理用品などをリュックに入れてまとめておくことが備えになります。

次に、ハザードマップの確認です。
こちらは富山市の岩瀬地区の津波ハザードマップです。
住んでいる地域のハザードマップが自治体から配布されています。

各自治体のホームページからもハザードマップは確認できますので、ハザードマップを基に、自分の住む地域周辺にはどんなリスクがあるのか。
地震があった場合、どこに避難するのか家族で確認です。

*防災システム研究所 山村武彦所長
「幸いなことに富山の場合、人的な犠牲者は出ていない。『やっぱり富山は安全だった』という風に逆に思い込んでしまって、一時的に『何かしなければ』と思った意識が比較的安全神話の方に流されてしまっていくような感じを受ける。防災はすべて事前対策。何か起きてからできることは、せいぜい2割くらいしかない。もう一度自分の身の回りの安全対策、ハザードマップを見直しながら対策をしっかりやる」

山村所長も、言うように半年経った今こそ、身の回りの地震対策を確認することが重要です。

能登半島地震から半年たった今、時間の経過で、被災の記憶は、どうしてでも薄れていきます。
しかし、県内ではおよそ1カ月前にも震度3の揺れが観測されるなど余震が発生しています。
災害は時と場所を選びません。
今一度、自分でできる対策の確認、見直しが必要です。

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