能登半島地震から半年…“5度傾いた家”で暮らし続ける男性「慣れるしかない」排水機能低下で大雨に不安も

能登半島地震から半年。
富山県内では、大きな被害があった氷見市と同じ西部の市が、甚大な被害に見舞われました。
特に、高岡市や射水市の沿岸地域では、地盤が緩み建物が損壊したり傾くなど、液状化の被害が深刻です。

*リポート
「高岡市伏木地区です。地震から半年が経ちました。傾いて沈んだ電柱や道路のひび割れ。地震の爪痕がいまも数多く残っています」

5000件を超える住宅被害が確認された高岡市。
液状化被害が深刻な伏木地区では、被災した500世帯のうち100世帯以上が住み慣れた家を解体し転出することを決めました。

伏木地区で90年続くアイスクリーム店では…。

*前山商店 宮本喜代美さん
「近くの人はみなどこかへ移転している。本当に伏木に人がいない」

*伏木地区に住む家族
「地震で転校する同級生もいて、2クラスだったのが1クラスになるかもしれない。寂しいこともある」

高岡市吉久地区。
住宅と道路の間に50センチ以上の段差ができるなど、液状化による被害が数多く確認されました。

およそ40年、吉久地区で暮らすこの男性は、液状化によって5度傾いた家で、いまも暮らし続けています。

*高岡市吉久地区 串岡弘昭さん
「ここに住むしかない。家の傾きには慣れるしかない」

梅雨時のいま、住民の不安を増しているのが大雨です。

*高岡市吉久地区 串岡弘昭さん
「大きな用水路へ流れていた水路が(液状化で沈み)滞留してしまったり、少しずつしか流れなくなってしまい、横へ溢れ出るようになっていた」

吉久地区では、液状化で噴き出した砂が下水道や用水路で詰まったり、ゆがみ、排水機能が低下する被害が多数確認されています。
高岡市は復旧工事を進めていますが、完了のめどは、およそ3年後です。

*高岡市吉久地区 串岡弘昭さん
「ことし仮に切り抜けたとしても、来年の梅雨に直っていないと、豪雨で水浸しになる可能性も十分ある。一刻も早く修理してほしい」

高岡市吉久から中継でお伝えします。

【中継概要】
高岡市吉久です。

元々は平らだったこちらの道路、液状化によってできた50センチ以上の段差はいまもそのままの状態です。
道路の中央にも車の通行を妨げるほどの階段状の段差がありましたが、コンクリートで固められ現在は「仮復旧」しました。

地震から半年、梅雨入りした被災地で、大きな課題なのが大雨による「内水氾濫」への対策です。

地区では、液状化による道路の隆起と沈みが激しく、用水路や下水道がこれまで通りには機能しない状態です。

地区には、ブルーシートなどで雨水を運ぶ仮の水路が設けられましたが、6月の大雨では水量が急激に増し溢れ出そうになりました。

復旧まで3年間、地区に住む人からは、繰り返される豪雨とまた大きな地震が起きたらどうなるのか、不安が広がっています。

復旧・復興には時間を要します。
その間も、被災者の安全をどう確保するのか、継続した支援が求められています。

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