ささやかな力添え

 船底を逆さにしたようなアーチ形の天井と花模様の装飾に、すっかり見とれてしまう。先日の休みの日の夕方、新上五島町の頭ケ島天主堂を訪ね、教会守の女性に中を案内してもらった▲天主堂には、近くの上五島空港の駐車場に車を止めて、シャトルバスで向かった。この春、1日18便の「パークアンドライド」が始まったが、利用する人は引きも切らずという▲町によると、昨年度は月平均で3千人が頭ケ島を訪れたが、ことし4月以降は月平均で4千人に上る。天主堂のある「頭ケ島の集落」は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つとして、ますます注目されている▲天主堂では、ポストカードや案内パンフのセットが有料で置かれていた。聞けば、協力金として今後に生かしたいらしい▲お供えの花の用意も、天主堂の周りをきれいにするのも、清掃用具をそろえるのも、数少ない、高齢化した信者が担っている。表には出ることなく、集落を、天主堂を保とうと努める人たちの営みにぜひ目を向けてほしい、と町の担当者は言う▲もちろん、頭ケ島に限った話ではあるまい。静かな祈りの場を静かに守り続ける人たちがいる。ささやかながらも力添えできれば、と考える。ひっそりとした集落や、素朴で美しい天主堂を思い浮かべつつ。(徹)

© 株式会社長崎新聞社