平成8(1996)年の主な出来事

 戦後50年から新たな一歩を踏み出した今年、「被爆地ナガサキ」は揺れた。4月にオープンした長崎原爆資料館の常設展示は、政党や外国の意向を受け入れ二転三転。だが原爆落下中心地碑の撤去に反対する市民の訴えには、市は頑としてかぶりを振り続けた。
 「基地の街」佐世保もまた揺れた。米海軍強襲揚陸艦ベローウッドの修理問題をめぐり、SSKが一歩も引かない交渉ぶりを見せ、米兵が市民を襲った強盗殺人未遂事件では、日米地位協定見直し後の起訴前身柄引き渡しが初めて実現した。「日米の対等なパートナーシップ」づくりに大きな役割を果たした。
 明るい話題では、雲仙・普賢岳が噴火6年目で「終息宣言」。新幹線長崎ルートは計画から23年目でようやく着工の運びとなった。だが復興対策、財源問題など、いずれも「宿題」は積み残されたままだった。

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