「徴用工のものでない」 被爆者手帳訴訟 破棄名簿で国側 長崎地裁

 戦時中、三菱重工業長崎造船所に徴用されたとする韓国人男性3人が、国と長崎市に、被爆者健康手帳の交付などを求めた訴訟の口頭弁論が21日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であった。長崎地方法務局が約50年前に破棄した朝鮮半島出身の徴用工のものとみられる名簿について、国側は「朝鮮人徴用工のものではなかったと考えるのが合理的」とする準備書面を提出した。
 原告側は、名簿は長崎造船所が1948年、朝鮮半島へ帰国した元徴用工への未払い金を同法務局へ供託した際に添えたものと主張。名簿破棄は、保存を指示した58年の法務省通達に違反すると訴えていた。
 一方、国側は準備書面で、同法務局は別企業から46年と47年にも、朝鮮人半島出身者への未払い金の供託を受けており、その関係書類は現在も保存されていると指摘。「48年の供託分のみ、通達に反した取り扱いをするとは考え難い」と主張した。

長崎地裁

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