エース&二塁手&主力捕手が移籍で「新時代」プランは? 西武のキャンプ見所

西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

注目の開幕投手争いは最多勝右腕vs大ベテラン?

 西武の春季キャンプは2月1日から宮崎・日南市(南郷町)で行われる。今季のチームスローガンを「CATCH the GLORY 新時代、熱狂しろ!」とした昨季リーグ王者は、これまでとは異なる布陣で球春を迎える。今回は、西武キャンプの見どころを紹介していきたい。

 西武投手陣の直近の課題は、やはりメジャー移籍でチームを去ったエース・菊池雄星投手の穴埋めということになるだろう。名誉ある開幕投手の座をめぐって、見応えのあるアピール合戦が繰り広げられることが予想される。

 現時点で開幕投手候補筆頭に挙がっているのは、昨季の最多勝・多和田真三郎投手だ。昨年は打線に救われて白星が転がり込む場面も目立ったが、先発の柱としての自身の立場をさらに盤石なものとすることができるか。プロ3年目を迎える今井達也投手も、次世代エースとして大きな期待がかけられる。そして、巨人から人的補償で移籍してきた内海哲也投手は、開幕投手を3度経験した大ベテラン。いずれにしても若い投手陣にとって、通算133勝の一流左腕の存在は、素晴らしい教材となるだろう。

 2018年ドラフトルーキーの投手では、1位・松本航と4位・粟津凱士、6位・森脇亮介がA班(1軍)メンバーに抜擢された。森脇は26歳のオールドルーキーであるだけに、即戦力の活躍が求められる。フリー打撃などでの登板があった場合、破壊力抜群の野手陣に対して、どこまで自分の投球ができるのか注目だ。

正二塁手・主力捕手を欠くも若獅子にとっては大チャンス

 野手陣では、昨季までキャプテンを務めた浅村栄斗内野手が楽天へ、投手陣の信頼厚い炭谷銀仁朗捕手が巨人へ、それぞれ移籍してしまった。しかし、2人の主力の離脱は、他の選手にとっては定位置獲得に向けての大きなチャンス。激しい競争を勝ち抜き、開幕1軍の座をつかむ選手が登場するかどうか。

 浅村の移籍によってぽっかりと空いた二塁のポジション。そこを埋める選手として真っ先に名前が挙がるのは、昨季119試合に出場し、18本塁打、67打点、打率.287を記録した外崎修汰内野手だろう。しかし、西武の「出世順位」であるドラフト3位で入団した山野辺翔内野手を筆頭に、魅力的な内野手は数多くいる。辻監督の目に止まるようなアピールに成功するのはどの選手か。

 昨季リーグ優勝の立役者も、それぞれが明確な課題意識を持って、このキャンプに臨む。本塁打王を獲得した主砲・山川穂高内野手は今季の目標を大台の「50本塁打」に設定。あくなき探求心を持つ獅子の4番は、春から豪快な柵越えを連発してくれるに違いない。

 その山川とともに自主トレを行った森友哉捕手は、炭谷がチームを抜けたことでいよいよ「正捕手」としてひとり立ちの時を迎える。打撃は申し分ないだけに、キャンプでは特に捕手として研鑽を積む姿が多々見られるだろう。

 昨季はシーズンのほとんどを固定メンバーで戦った西武。しかし、今季は中心選手の移籍が相次ぎ、開幕プランも白紙の部分が生まれている。「新時代」を担う若獅子たちの熱い競争は、まだ寒さも残る2月の宮崎から。ディフェディングチャンピオンとしてのシーズンを彼らがどのように迎えるかは、この春季キャンプに懸かっている。(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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