長崎空港ビルディング60周年 旅客以外の利用者増へ 売店エリア充実、展望デッキ整備

長崎空港ビルディングが運営する長崎空港ターミナルビル。旅客以外の利用者も増やそうと取り組みを進めている=大村市箕島町

 長崎空港ターミナルビルを運営する長崎空港ビルディング(長崎県大村市、中村昭彦社長)が今年2月に創立から60周年を迎えた。2018年度には長崎空港の乗降旅客数が326万9487人で1975年の開港以来過去最多を記録。本県の空の玄関口としての役割が高まる中、旅客以外の空港利用者を増やす取り組みにも力を入れている。
 同社は1959年に「大村空港ターミナル」として設立。現在の社員数は316人(2019年4月現在)で、航空機の地上支援や売店・飲食店運営、旅行代理店業務などの事業を展開する。
 乗降旅客数は09年度(232万5千人)以降、右肩上がりで増加。18年度の国内線は、V・ファーレン長崎の試合開催や昨年7月の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録などが追い風となった。昨年9月の格安航空会社(LCC)ジェットスター・ジャパンの成田線就航も旅客増の要因になったという。国際線も今年1月の香港線の就航などもあり、好調だった。
 こうした新規路線の開拓に向け、同社は昨年2月にエアライン営業課を新設。県や関係団体と密接に連携し、国内・国際線共に旅客数の拡大を図る。同社は「空港の24時間化やIR(統合型リゾート)などが実現すれば、さらに旅客数の増加が見込まれる。県とも歩調を合わせながら、いつでも対応できるようにしたい」とする。
■ ■ ■ 
 旅客数の増加に伴い売店や飲食店などの売り上げも伸ばしている。15年度は5期連続の増収増益を達成。16年度は熊本地震などの影響で減収減益となったが、17年度の売上高は51億3800万円、純利益は3億円で増収増益に転じた。
 一方で、旅客数に左右されない「経営の柱」作りにも力を入れる。昨年6月には2階売店エリアを「エアーポートショップ MiSoLa(ミソラ)」としてリニューアルオープン。スイーツやV長崎のグッズを販売する専門店も出店するなど、旅客以外の買い物客を取り込みたい考えだ。
 展望デッキでは子ども用遊具をそろえた「きっずらんど」を整備したほか、飛行機が見やすいようワイヤフェンスも導入。年間を通じたイベントの開催も合わせ、親子連れが気軽に立ち寄れる環境づくりにも取り組んでいる。同社は「海上空港ならではの自然災害や築44年となる建物の老朽化対策なども重要な課題。今後も『あたたかみのある楽しい空港』づくりを通じ、地域と共に成長できる空港を目指したい」としている。

© 株式会社長崎新聞社