平和祈念式典で被爆者代表として「平和への誓い」を読み上げた山脇佳朗さん(85)=長崎市晴海台町=は「遺言のような気持ちだった。やるべきことはやった」と晴れやかな表情を浮かべた。
11歳の時、爆心地から2.2キロの稲佐町1丁目(当時)で被爆。爆心地から500メートルの工場で働いていた父を失った。定年退職後、独学で習得した英語を生かし、世界の人々に被爆の実相を伝える「英語の語り部」として活躍してきた。
誓いでは、父の遺体を置き去りにして兄弟3人で逃げたつらい過去を語った。被爆後、病に悩まされ続けてきた経験も踏まえ、原爆のむごたらしさを告発した。
「私はこの場で安倍総理にお願いしたい」。途中、決然たる表情で視線を上げ、参列した安倍晋三首相を見詰めた。「被爆者が生きているうちに世界で唯一の被爆国として、あらゆる核保有国に『核兵器を無くそう』と働きかけてください」と“直訴”した。
最後は得意の英語で「地球上から核兵器を無くすために力を貸してほしい」と世界に呼び掛けて締めくくった。参列した各国大使の中には立ち上がって拍手をする人もいた。
「大変うれしかった。私の思いが伝わったんだろうな、と」
核廃絶を“直訴” 英語の語り部・山脇佳朗さん「遺言のような気持ち」
- Published
- 2019/08/10 10:43 (JST)
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