平和への思い 海をこえて 長崎市立西浦上中 フィリピンの学校と交流 「多くの人が集まれば やりとげられる」

(左から)平和新聞を作った野口さん、大平さん、福田さん=長崎市立西浦上中

 長崎県長崎市文教町の長崎市立西浦上中(吉原幹男校長、468人)がこの秋、フィリピンの国立マリワロ高(タルラック州タルラック市)との国際交流をスタートさせました。8月にマリワロ高から届いた折り鶴500羽と自分たちで折った500羽を合わせて平和公園に持って行きました。学校での平和学習などを紹介する英字新聞も製作し、フィリピンに送ることにしています。

 ■折り鶴を贈りたい

 交流のきっかけは、内閣府の国際交流事業「東南アジア青年の船」に昨年度参加したマリワロ高のクリスチャン・ポール・スンガ先生(25)からの呼び掛け。船内で体験した折り鶴などの取り組みを帰国後も生徒と一緒に続けており、完成した鶴を長崎などに贈りたいと考えるようになりました。西浦上中の山田公美教諭も以前、内閣府の別の国際交流事業に参加したことがあり、仲間を通じて協力依頼を受けました。

 ■英語で平和新聞を

 「(マリワロ高から)届いた折り鶴が(日本の)折り紙ではなく、外国の紙で折られていたことがうれしかった」と話したのは、3年で平和実行委員長の大平ほのかさん(15)。外国を身近に感じた生徒も多かったようで、折り鶴に糸を通すボランティアもすぐに集まったそうです。次は、折り鶴を託してくれたマリワロ高の生徒たちに、長崎の子どもたちの平和への取り組みや、西浦上中のことを伝えたい-。そんな思いから、平和実行委が英語で平和新聞を作り、フィリピンに送ることを決めました。

 ■原爆の悲惨さ表現

 新聞作りは大平さんと同じく3年の野口優太朗さん(15)、福田颯人さん(15)が担当。放課後に集まり、山田教諭と相談しながら作り上げました。原子爆弾で多くの子どもたちの命が奪われたこと、長崎の小・中学生や高校生は平和学習を通して、戦争・原爆の悲惨さ、世界平和の大切さを学んでいることなどを英語で表現しました。
 西浦上中についても、学年ごとにさまざまな平和活動に取り組み、今年夏に初めて「平和への誓い」を立てたことなどを紹介しています。
 「日本語の表現に合う英単語を見つけ出すのが難しかった」と振り返った福田さんは、社会科の教師になるのが夢(ゆめ)。「将来、この経験を生徒に話したい」と語りました。野口さんが気付いたのは「一人で作るのは大変でも、多くの人が集まればやりとげられる。千羽鶴も、平和も似ている」ということ。「今度はフィリピンのやり方で平和を祈りたい」と新たな思いも生まれました。
 平和新聞は今月中にフィリピンへ送り、今後もクリスマスカードの交換(こうかん)などを通して交流を続ける予定です。

日本に送る折り鶴を箱づめする生徒=フィリピン、マリワロ高

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