人口減の抑制なるか 長崎県新年度予算案 解説

 2020年度は、人口減少対策など地方創生に向けた6カ年の「第2期県まち・ひと・しごと創生総合戦略」がスタートする。15年度から取り組む現行の第1期総合戦略では、雇用創出や移住者数で目標を達成したものの、県内就職率などが伸び悩み、人口減少の抑制には至っていない。長崎県の新年度一般会計当初予算案はこれらの課題に重点的に取り組む編成となった。
 第1期総合戦略では、雇用創出は4年目(18年度)の目標3千人(累計)に対し、3570人(同)と最終目標4千人を上回る見通し。移住者数も目標の年間660人に対し、4年目で1121人に達した。
 一方、長崎県内就職率は大学新卒者が4年目の目標53%に対し41%、高校新卒者は目標64%に対し61.1%と、若者定着が課題の長崎県にとって厳しい数字だ。1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率も目標1.8に対し、1.68(18年度)と伸び悩んでいる。
 総務省が公表した昨年の日本人の人口移動報告によると、本県の転出超過数は7020人と都道府県別ではワースト5位(18年は同6位)だった。県都の長崎市は2772人と市町村別で2年連続ワースト1位、佐世保市も1443人と同8位。県内の2大都市でも人口減に歯止めがかからない。
 新年度一般会計当初予算案には、学生の県内就職やUターン促進として、地元企業と連携したキャンペーンや、県外在学生向けの就職活動旅費助成など新規事業も並ぶ。ただ、これらが抜本的な改善につながるかは未知数だ。
 財政状況が厳しい中、県は新年度、計59の新規事業に着手する一方、廃止や終了は計74事業を数える。“特効薬はない”といわれる人口減少対策や財政健全化などの懸案の課題に対し、事業の選択と集中で予算や人をどう効率的に動かしていくか。県には地道な努力と不断の検証が求められる。

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