コスタ・アトランチカ 5月末までに出港へ 陽性者回復、帰国始まる

5月末までの出港を目指すクルーズ船コスタ・アトランチカ=長崎市香焼町、三菱重工業長崎造船所香焼工場

 長崎市の三菱重工業長崎造船所香焼工場に停泊中に集団感染が発生したクルーズ船コスタ・アトランチカ(イタリア船籍、8万6千トン)について、運航会社「コスタクルーズ」と県は14日、陽性の乗組員149人について再度感染の有無を調べるPCR検査をした上で、今月末までの出港を目指すと発表した。
 同船に乗客はおらず、先月20日に乗組員1人の感染を確認。この時点で乗組員は30カ国以上の623人で、その後の検査で149人の感染が確認された。大半が2週間の経過観察期間を終えている。
 県によると、149人のうち13日の再検査で陰性だった乗組員1人が14日に下船し、長崎空港から定期便で帰国。陽性者が回復して帰国するのは初めて。長崎市内の指定医療機関に入院中の陽性の50代女性乗組員も2回の検査でいずれも陰性となり、15日に退院して長崎空港から定期便で帰国するという。
 14日は他の陽性者83人の検体を採取し、長崎大学病院で検査。18、21両日も検査をする。費用はすべてコスタ社が負担。乗組員の国によって求めている陰性の確認回数が異なり、1回または2回という。
 陰性が確認された乗組員は下船して空路で帰国するか、乗船したまま出国。ただ陽性者がいる場合、出港は難しいという。
 14日は陰性の乗組員も1人下船して帰国。同日現在で帰国者は287人。船内には陽性142人、陰性189人の計331人が滞在。長崎市内の指定医療機関に陽性の6人が入院中。
 また15日には同社の外国籍の医師1人、看護師2人が新たに乗船する。3人は母国を出る前にPCR検査で陰性となり、成田空港到着後の検査でも陰性だった。公共交通機関は使わず専用車で長崎に入る。船内で2週間個室に隔離した後、診療業務に当たる。現在、船内には医師1人、看護師3人がおり、計7人態勢となる。

 


© 株式会社長崎新聞社