世界50カ国の高校生 リモートで生物学五輪 コロナで長崎大会中止の代替

リモート大会に参加する日本代表の生徒ら=東京都内(国際生物学オリンピック日本委員会提供)

 世界各国の高校生らが生物学の知識や技量を競う「第31回国際生物学オリンピック2020長崎大会」のリモート大会が11、12の両日開かれた。当初は長崎県佐世保市の長崎国際大が会場だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で現地開催を中止。前例がない中で世界の若者が挑戦する場をつくり上げた。
 国際生物学オリンピックは1990年に始まった国際的なコンテスト。各国から選考を勝ち抜いた4人の代表が参加し、理論試験と実験試験の2種類に挑戦。総合成績の上位10%を金メダルとして表彰している。
 国内では11年ぶりとなるはずだった長崎大会には当初、約70カ国の生徒が参加を予定。期間中は日本文化のワークショップや被爆地の巡検など国際交流の機会も設けていた。だが新型コロナによるロックダウン(都市封鎖)で代表選考ができなくなった国が相次いだことなどから中止を決定。若者が自分の力を試す場を提供しようと代替のリモート大会を企画した。
 自宅からの参加も認めたため、各国の通信環境の差を解消しながら大会の公平さを保つ大会の在り方を模索。最終的に約50カ国が集まった。さらに、リモート大会独自の取り組みとしてグループプロジェクトも企画。感染症や生物多様性などテーマごとに異なる国の生徒4人がグループをつくり、オンライン上で議論を重ねて10月末までにポスターにまとめていく。
 長崎大会組織委員会の浅島誠委員長は「平和のイメージがあり、豊かな自然もある長崎での開催には大きな意味があった。非常に残念だった」と悔しさをにじませながら、グループプロジェクトのようなリモート大会ならではの取り組みにも期待。「若い世代が独自の発想で未来を考える機会は大切。今後の国際科学オリンピックの在り方に大きな影響を与える大会になったと思う」と話した。

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