「同じ子どもの受け皿なのに…」 コロナで苦境、支援に差 認可外保育施設の悲鳴

お昼寝をする保育園児。新型コロナウイルス感染予防のため、頭の向きを変え、園児同士の顔が近づかないようにしている=2日、横浜市内の認可外保育施設

 新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中、横浜市内の認可外保育施設が経営の危機に直面している。運営費の大半を公費で賄う認可施設と異なり、自費運営が原則だが、感染拡大防止のための登園自粛に応じたことに加え、感染を懸念して利用控えも起き、保育料収入が落ち込んでいるためだ。認可施設に比べて少ない行政の支援に、関係者は悲痛な声を上げる。「同じ子どもの受け皿なのに、認可と認可外でなぜ、線引きするのか」

 「横浜で保育崩壊が起きないよう、救いの手を差し伸べてほしい」

 そう訴えるのは、市内の認可外保育施設の男性園長(39)だ。

 政府が緊急事態宣言を発令した翌日の4月8日、市は市内の認可施設に登園自粛を呼び掛けた。

 園長の施設もそれにならった。自粛期間は約2カ月におよび、その間の保育料計約100万円は保護者に返還した。さらに感染を懸念した保護者が入園を取りやめるケースも相次ぎ、利用者は例年より3、4人少ない。その結果、4~5月の収入は前年度の6割程度まで落ち込んだ。

 市は当初、認可外施設への財政支援に難色を示していたが、6月に保育料を返還した認可外施設に最大30万円の支援金を支給することを決定。園長は市の決断に感謝を示しつつ、ただ「焼け石に水」と受け止める。

 ■

 自粛期間が明けても、園内では油断できない状況が続いている。

 今月2日午後。いくつかの部屋に分かれ、45人の子どもがお昼寝をしていた。すやすやと眠るその頭は、互いの顔が近づかないように、向きを変えている。様子を見守る保育士たちはマスクを着用。日に何度も手指を消毒してもいる。

 「プライベートの行動にも気を付けるなど、先生たちには努力してもらっている」と園長。感染者が確認されれば休園せざるを得ず、利用者がさらに減ることも予想される。それでも「子どもたちの愛着形成のためにはスキンシップが必要。保育の現場で感染を100パーセント防ぐことはできない」と吐露し、続ける。「先生たちの疲弊は限界を迎えている」

© 株式会社神奈川新聞社