「長崎初」169店舗を誘致 アミュプラザ開業20周年 駅ビル再開発の展望

長崎駅の顔として定着したアミュプラザ長崎=長崎市

 JR長崎駅に隣接するアミュプラザ長崎(長崎市尾上町)が、新型コロナウイルス禍の中、静かに開業20周年を迎えた。県都の陸の玄関口に人のにぎわいを創出し、駅前の顔として定着。周辺ではMICE(コンベンション)施設、商業施設やホテルが入る新駅ビルなど再開発が続く。駅ビルのこれまでと、これからを探った。
 アミュプラザ長崎は、2000年9月21日に開業した。服飾雑貨や書店、飲食店、シネマコンプレックスなどを備えた5階建ての大型商業施設で、138店舗が入居。そのうち県内の事業者は44だった。
 「当時は駅に人が集まるのかも分からなかった。(出店は)チャレンジだった」と語るのは、開業時から入居する婦人服店「パパスアンドママス」の城島薫社長(57)。商業施設への進出を決めたのはアミュが初めて。県内初登場の人気店などと同じ屋根の下で競うことになり、長崎の人が喜ぶ商品を模索、ディスプレーを工夫するなど努力を重ねた。今は県内外で8店舗を運営。「当時の経験がその後の展開のヒントになった」と効果を語る。
 駅ビルは長崎の人々の生活に定着した。運営するJR長崎シティによると、01年度の売上高は目標を7億円上回る157億円。08、09年度はリーマン・ショックと、みらい長崎ココウォーク(茂里町)開業の影響で下降したものの、10年度にファッションゾーン、レストラン街をリニューアルし持ち直した。以後9年連続で増収増益。19年度は新型コロナの影響で微減となったが、206億1600万円に上った。

アミュプラザ長崎 売上高推移

 この20年で「長崎初」のテナントを合計169店舗誘致。17年末に県庁舎が近くに移転してきたことに合わせ、レストラン街で仕事帰りの人向けにアルコールに合うメニューを充実させるなど、周囲のニーズを敏感にくみ取りながら変化し続けてきた。
 集客も順調で、昨年、予定より1年以上早く入館者2億人を達成した。かもめ広場で「地酒まつり」「長崎和牛BBQ」など県内の物産を発信するイベントを次々と開催。さらに近年は、地元の雑貨店などに声を掛け、屋内の催事スペースで2週間程度の期間限定ショップを展開、地域密着に力を入れている。
 アミュの影響について、長崎経済研究所は「駅がJRに乗るための場所から、時間を消費する場所に変わった。他の商店街には脅威だったが、対抗策を講じるようになって切磋琢磨(せっさたくま)し、互いの魅力向上につながっている」と分析した。

 


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