栄養サポート猛勉強の母、武道精神教えた父

家族の愛情に感謝、空手・形女子の清水

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 これまでの競技人生を支え続けてくれた家族について、空手・形女子の日本のエース、清水希容が語った。(聞き手、共同通信=村形勘樹)

2016年10月、空手の世界選手権の形女子で2連覇を果たした清水希容(左から2人目)=リンツ(共同)

 ―家族のサポートで思い浮かぶことは。

 これまでの競技人生で大きかったのは、やっぱり母の支え。生活面の管理から心のケアまで、いろんな意味で背中を押してくれた。今の自分を築いてくれた一番大事な存在。

 ―母が熱心に関わりだしたのはいつ頃から。

 本格的には高校時代。日本一を目標にしていたので、栄養やドーピングなど気を使うことが一気に増えた。母は本やインターネットで猛勉強。その姿を見て「すごいな。自分も頑張らなきゃ」と気が引き締まった。

 ―日々の食卓は。

 品数は多く、主菜に小鉢が4個ほど。私の顔色を見て疲労度を推し量ってメニューを考えてくれる。その時に必要なものを調べて作ってくれる。好きな料理はカボチャのグラタン。

世界選手権で2連覇を達成した清水希容の演武=16年10月、リンツ(共同)

 ―国際大会の時は。

 海外遠征に行く際は、献立のメモを渡される。練習後に『しんどいな』と思って食べないと良くないので、さっと作れるもの。簡単にでき、栄養がある献立を考えてくれる。

 ―どういった内容。

 例えばお湯で戻す乾物を朝昼晩と小分けにし、1週間分セットしてくれる。現地の食材で体調を崩すのが怖いので、大会期間中はできるだけ持っていった食料だけを食べる。なくてはならない助けだ。

 ―精神的な面では。

 気持ちが乗らない時に活を入れてくれたのも母。負けず嫌いの性格を分かって、あえて厳しい言葉を投げかけられた。それでも大一番の前は違って、2連覇を狙った2016年の世界選手権の時は「希容は、世界を魅了する形を打てる」と。気持ちがすごく不安定な時期でもあったので、すごくうれしかったのを覚えている。

世界選手権で2連覇を達成した清水希容の演武=16年10月、リンツ(全日本空手道連盟提供)

 ―母と出かけることは。

 買い物などに出かけるのは年に1、2回あるかないか。引退したらゆっくりいろんな所に行きたい。

 ―父の存在は。

 父は口数は少ないが、どこで試合があっても応援に来てくれる。以前パリを拠点に2カ月間、大会を転戦した時には、仕事が大変なのに食料を届けにスペインまで駆けつけてくれた。いつも愛情を感じている。

 ―試合では熱心に応援してくれる。

 私の演武をいつも動画で撮影してくれる。たぶん、中学時代から映像があると思う。

 ―父は空手経験者。

 子どもの頃にかじった程度。剣道は今も続けている。同じ武道で共通する部分がある。剣道の素振りから、空手に生かせる体の使い方のアドバイスを受けたことがあった。

 ―印象深い父の教えは。

 武道精神。相手を重んじる礼儀というのは、すごく大事にしている。「相手がいるからこそ試合が成り立つ」「感謝して、敬意を払って試合をしなさい」というのはずっと言われてきた。

 ―空手が東京五輪の実施競技入りした時は。

 両親とも喜んでいた。でも『そこまで続けられるの?』という気持ちの方が大きかったようだ。どちらかというと私の体を心配してくれていた感じだった。

ミキハウス本社で卓球部の平野早矢香コーチ(左)から花束を受け取る清水希容=17年11月、大阪府八尾市

 ―家族と過ごす時間は。

 新型コロナウイルスの感染拡大後は、一緒の時間が増えた。母が一家そろって夕飯を食べることを大事にしている。ここ最近はできなかったたわいもない会話を楽しめ、本当に心が休まっている。

 ―改めて家族のありがたみを感じた。

 自分が母や父の立場になった時に、同じことは絶対できないと思う。年齢を重ねるごとに感謝の気持ちが増し、この家族を大事にしたいと強く思っている。

 ―両親から見習いたい部分は。

 笑顔のある家族はすごくいい。父と一つ年上の兄と一緒にふざけあって笑いの絶えない家庭だったので、将来私も見習いたい。

  ×  ×  ×

清水希容

 清水 希容(しみず・きよう)空手・形女子の東京五輪代表。小学3年で空手を始め、世界選手権は14、16年に優勝、18年は2位。全日本選手権は13年から7連覇中。アジア大会は14、18年に制した。東大阪大敬愛高、関大出。ミキハウス。160センチ、56キロ。1993年12月生まれ。大阪府出身。

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