三菱重工 国内で洋上風車工場 香焼など候補、欧州大手と協業

 三菱重工業は29日、デンマークの風力発電機メーカー世界大手ヴェスタスに出資し、共同で日本国内に販売会社を設立すると発表した。洋上風力市場の拡大を見越し、工場建設も検討。長崎市香焼町の長崎造船所香焼工場などが候補地になるとみられる。
 一方、香焼工場は売却を含めた活用に向け大島造船所(西海市)と交渉中。三菱の泉沢清次社長は30日の中間決算発表会見で「検討を進めている途上」と述べるにとどめた。
 三菱はかつて長崎と横浜で陸上風車を製造していたが、横浜に事業を集約し、現在はアフターサービスや営業に規模縮小している。2014年にはヴェスタスと折半出資し、洋上風車専業の合弁会社MHIヴェスタスを設立。主に欧州や台湾で展開している。
 米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスとの競争が激化する中、三菱は日本やアジアでシェアを伸ばすため、協業するヴェスタスに開発や製造を委ねる。MHIヴェスタスの保有全株式をヴェスタスに譲渡し、ヴェスタスの約2.5%の株式を取得。日本国内に新設する販売会社には過半出資し、工場設置を共に検討する。
 29日に記者会見した三菱の細見健太郎常務は工場建設先について「まだ絞り込んでいない」と説明。その上で「巨大構造物を造るには十分な広さや地耐力、搬出できる設備が必要なので、更地ではなく、既存工場が対象となる」と述べた。

 


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