心に暖を取る

 きのう久しぶりにネクタイを締めると、首元がちょっときつかった。ウォームビズが本格的に始まり、重ね着したり膝掛けをしたりと、暖房をなるべく控える生活に移る▲新型コロナの影響で、この冬は寒くても室内の空気の入れ替えが必要という。分かってはいるのだが、寒冷の日にはいくらか勇気を伴うだろう。温かさを保つのに、とりわけ注意を払う季節が近い▲なにも室内に限らない。文化芸術の秋、心にぬくもりが欲しい頃でもある。そんな折、子どもや学生がインターネット上で演奏や作品を動画で配信する「文化祭」が“開幕”したと、きのうの紙面で報じていた▲コロナで発表の場が減った若い世代が、音楽、ストリートダンス、アートの3部門に作品を寄せた。「ながさきオンライン文化祭」のユーチューブチャンネルなどで順を追って公開される▲音楽部門の一部がすでに公開中で、例えば県内のプロオーケストラが、わらべうた「でんでらりゅう」を演奏し、それに合わせて子どもたちが歌っている。離れていながら音楽で一つになるのは貴重な経験に違いないが、それを見て、聴いているこちらもまれな経験に心が和む▲きょうは「文化の日」。どこかで誰かが奏でる音や歌声に聞き入り、造形や映像に見入るのも一興だろう。心に暖を取りながら。(徹)

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