『ワーケーション』7割関心も実現困難? 制度不備、理解不足が壁

ワーケーションで利用したい地域、ワーケーションで体験したいこと

 休暇先で働く「ワーケーション」について、ながさき地域政策研究所(シンクながさき)は長崎、福岡両県の県民に対して意識調査を実施。ワーケーションをやってみたいと思う人は両県合わせて70.1%を超えた半面、実現可能と答えたのは3割以下にとどまり、「関心は高いが会社の制度整備や周りの理解が壁になっている」と分析している。
 調査は10月に長崎、福岡両県の在住者を対象にインターネットで実施。回答した約5千人の中から、リモートワークの経験者、希望者などに絞って400人を抽出して調査した。
 ワーケーションを「実施したい」「どちらかといえば実施したい」と答えたのは全体で70.1%。県別では福岡74.9%、長崎60.5%。県内でも高い関心を示す一方で、ワーケーションの実現が「可能」「条件付きで可能」と答えたのは全体で28%、県内は16.7%にとどまった。
 実現できない理由として「会社の制度がない」(66.7%)が最も多かった。「会社の理解が得られない」(28.8%)など、制度の不備や意識醸成の遅れが壁となっている現状が浮かび上がった。
 「利用したい地域」を県内13地域から選択してもらったところ、全体では雲仙温泉が34.3%でトップ。長崎市中心部33.3%、五島列島30.5%と続いた。また、ワーケーションで滞在中に「体験したいこと」では温泉が83.8%で圧倒的な人気を誇る。次いで食べ歩き(57.3%)、まち歩き(48.8%)などの人気も高かった。
 シンクながさきは「大都市圏からだけでなく、近場での需要も高いことが分かった。温泉や離島など本県が持つ潜在能力は非常に高く、ワーケーションは重要な市場になり得る」と分析。その上で「通信環境など受け入れ側の整備と、福利厚生の充実といった会社側の制度整備が必要」と指摘した。

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