民事訴訟にウェブ会議 14日から長崎地裁 省力化、期間短縮に期待

ウェブ会議のイメージ

 裁判所と弁護士事務所をオンラインでつなぎ、民事訴訟の手続きを進めることができる「ウェブ会議」が14日から長崎地裁本庁(長崎市万才町)で利用可能になる。全国的に進む裁判のIT化の一環で、訴訟の効率化が期待されている。
 ウェブ会議は東京地裁など全国13地裁と知財高裁で導入済み。最高裁は残り37地裁でも12月から導入すると明らかにしていた。
 長崎地裁民事部によると、ウェブ会議は民事訴訟における弁論準備などの争点整理手続きや、労働審判で活用される見通し。裁判所と弁護士事務所をオンラインで結び、テレビ電話のように双方の顔を画面に映しながら、同時に資料の共有や編集もできるという。ウェブ会議を取り入れるかどうかは、事案ごとに当事者の意向などを踏まえ裁判官が判断する。
 ウェブ会議の導入により弁護士が裁判所に出頭する費用や時間が削減でき、訴訟手続きの省力化や短期間化が図られる。民事訴訟の争点整理ではこれまでも電話会議を活用できたが、電話と異なり顔の見えるコミュニケーションや資料の共有が可能になるため、より充実した審議が期待できるという。離島や県外など遠方の弁護士が移動せずに済む利点もあり、新型コロナウイルスの感染拡大防止にも効果がある。
 国は訴訟のIT化を推進している。内閣官房によると、国の専門家会議は2018年3月、「裁判手続等のIT化に向けた取りまとめ」を公表。裁判の全面的なIT化を目指し、(1)現行法の下でウェブ会議を導入(2)関係法令の改正(3)オンライン申し立てなどの運用-の順に実現するのが望ましいと提言した。
 こうした流れを受け、13地裁などでは今年5月までにウェブ会議を導入。最高裁によると、ウェブ会議の利用実績は5月には全国で月間84件だったが、9月には2974件まで増えたという。長崎地裁は「(導入により)民事裁判そのものがより利用しやすくなるのでは」としている。


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