長崎県内景況2期連続改善 12月短観 先行き不透明感も 日銀長崎支店

 日銀長崎支店が14日発表した12月の県内企業短期経済観測調査(短観)は、全産業の景況感を示す業況判断指数(DI)がマイナス14と2期連続で改善した。前回の9月調査時を10ポイント上回り、幅広い業種で新型コロナウイルス感染症の影響が和らいだ。ただ直近の感染拡大傾向は反映されておらず、先行きには不透明感が漂っている。
 業況判断DIは「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた数値。調査は136社(製造業44、非製造業92)を対象に11月11日~12月11日に実施。全社が回答した。
 業種別で見ると、非製造業がマイナス12で前回から10ポイント上昇。特に、宿泊・飲食サービス業はまだマイナス34だが、政府の観光支援策「Go To トラベル」効果で前回から55ポイント持ち直した。前回マイナス6だった小売業が23とプラスに転じた。秋冬物衣料が売れ、自動車販売も回復している。
 非製造業に比べ遅れ気味の製造業も、前回を13ポイント上回るマイナス16に戻した。中でも電気機械業は60ポイント上昇のマイナス20と改善幅が大きかった。車載部品やイベント会場の電気設備、生産設備用機械の受注が増えている。
 来年3月の全産業の先行きはマイナス24と悪化を見込む。さらに県内では12月中旬から再び感染が拡大している。下田尚人支店長は会見で「先行きは感染状況次第で予想が難しい。だが以前の感染拡大時期と比べ、県民は経済活動で柔軟に対応できるようになっており、基調としては持ち直しの方向が続いている」と述べた。
 資金繰りを「楽である」と回答した企業割合から「苦しい」の割合を引いた資金繰りDIはゼロ。金融機関の実質無利子融資などに支えられ、前回から4ポイント上昇しマイナスが解消された。

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