殉職消防士へ送る哀悼の手ぬぐい 米テロから来年20年 長崎の元消防士ら

米ニューヨークの消防署に送る手ぬぐいについて話し合う井村さん(右奥)ら=長崎市内の井村さん宅

 2001年9月11日の米中枢同時テロでは多くの消防士が殉職した。長崎市内の元消防士らは、来年で同テロから20年となるのを機に、殉職した米ニューヨークの消防士への哀悼の気持ちを込めた手ぬぐいを、現地の消防署に届けようと準備を進めている。
 今月10日、発起人で同市消防局の元消防士、井村啓造さん(74)宅=同市立山1丁目=に、元消防士の坂谷彦山さん(67)と兵藤一吉さん(65)、元消防団員の山﨑秀人さん(71)が集まった。節目の年に「自分たちにできることをしよう」という井村さんの思いに共感したという。
 井村さんはテロ発生の翌年、夫婦で千羽鶴を作り、星条旗に知人とメッセージを寄せ書きし、米ニューヨークの消防署へ送った。そのお礼に、殉職した消防士の人数「343」などが描かれたTシャツが届き、大切に保管してきた。
 「壊れるビル、逃げ惑う人々。当時テレビで見た惨状は脳裏に焼き付いている」「同じ『消防人』として少しでも応援したい」-。発生から20年の節目に、追悼の思いを伝えるのと同時に、ニューヨークで消防の道を歩む若い世代を激励しようと、来年2月中旬ごろ、消防署へ手ぬぐいなどを送る計画だ。
 手ぬぐいは、火災のけむりからのどを守り、止血にも活用できることから、井村さんらは現役時代から持ち歩いている。今回、外国人に人気の四字熟語「風林火山」を手ぬぐいにデザイン。書道家でもある坂谷さんが毛筆で書いた。
 元消防団員の染め物職人が染色し、現地に343枚を送る予定。山﨑さんが営む「山崎印章」(桜町)で年明けから同数を1枚千円で販売し、売り上げの一部を活動資金に充てる。問い合わせは井村さん(電090.2508.7178)。

 


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