第3波 県内病院直撃 患者受け入れ中止も 長崎県医師会 医療危機宣言へ

感染者が確認され外来と新規入院の休止を知らせる病院=長崎市内

 新型コロナウイルスの“第3波”が長崎県内の病院を直撃している。23日には長崎市の3病院で入院患者と職員計6人の感染が相次いで明らかになり、患者受け入れを当面中止するなど対応に追われた。既に西海市の病院でもクラスター(感染者集団)が発生しており、一般診療への影響や医療スタッフの疲弊に危機感を募らせる県医師会は24日、「医療危機的状況」を再び宣言する。

 長崎市の井上病院の入り口には立ち入り禁止の張り紙が掲示されていた。入院患者1人が系列の長崎北病院(西彼時津町)に転院する際に発熱などの症状があり、井上病院の職員や別の入院患者も検査したところ、さらに3人の患者が感染していた。担当者は「患者全員の検査を検討している矢先だった」と戸惑いを隠さない。外来と新規入院の受け入れを当面中止。同病院を訪れた90代の男性は「次の診察はいつになるのか」とため息をついた。長崎北病院も入院受け入れを一時中止したが、医療スタッフの検査結果などから「院内での感染拡大はない」として24日に再開する。
 日赤長崎原爆病院と虹が丘病院では職員各1人の感染を確認。それぞれ院外の感染者の接触者だった。原爆病院は23日から関係する診療科の患者受け入れを中止し、職員と接触した可能性がある患者、職員を検査している。虹が丘病院の職員は患者と接触しておらず、診療は通常通り継続するという。
 一方、長崎市の和仁会病院は20日にホームページで職員1人が感染したことを公表し、21日から外来と新規入院の受け入れを停止。23日までに他の職員や患者ら全員の陰性が確認され、診療再開の準備を進めている。
 長崎医療圏では休日夜間の救急を9病院が交代で担っており、井上病院と原爆病院も含まれる。長崎市の担当者は「ローテーションを変更する可能性はあるが、フォロー体制は整っている」とする。
 県医師会は危機感を強める。24日に記者会見し、今年4月のクルーズ船の集団感染以来2回目の「医療危機的状況」を宣言。県民に感染を防ぐ行動を徹底するよう呼び掛ける。中田勝己県福祉保健部長も病院での感染拡大について「非常に危惧している。まずは感染経路をしっかり解明し、専門家の意見を聞いて有効な対策を考えたい」と話した。

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