「鍵盤男子」ピアニスト大井健さん 初のフォトブック

大井健さんが初出版した「Piano man」

 超絶技巧で話題となったデュオ「鍵盤男子」で人気を集め、洗練された表現力で“ピアノの貴公子”と呼ばれたピアニスト大井健さん(37)が、初のフォトブック「Piano man」(集英社)を出版した。練習風景の写真やエピソードで、演奏家としての素顔を伝えている。

 第1章はピアニストを目指した原点を回顧。神奈川県厚木市で育ち、家族でドイツに移住した小学時代に耳にした「人の肌のように温かく、血液のように僕の身体にしみ込んでいった」ハープシコードの音に魅せられ、英国の学校でメンデルスゾーンの子孫から学んだ経験などを振り返っている。

 第2章は「ピアノの魅力を伝えたい」とし、名曲に合った奏者を紹介。ショパンの「英雄ポロネーズ」を聴くならマルタ・アルゲリッチがお薦め─など「音楽の宝石商」として70曲を解説している。書籍では6月に所属事務所から独立した経緯に触れ、コロナ禍の世界で「音楽が癒やしになれば」との思いを吐露。東日本大震災の被災地で演奏した際に目にした被災者の笑顔と重ね、「いまこの世界の中で僕のピアノを弾き続けたい」としている。

 全3章、112ページ。3300円(税込み)。県内外の書店やインターネットで購入できる。

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